賽銭
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賽銭(さいせん)とは、祈願成就のお礼として神仏に奉る金銭。また、社寺に詣でる際に奉納する金銭。「賽」は神恩に報いる祭儀の意。古くは金銭ではなく幣帛(へいはく)・米などを供えた。賽銭は神に奉げる供物の一種であり、社寺の事業に使うために献げる寄付(浄財)とは異なる。
参拝者は賽銭箱に金銭を投入した後、神社なら拍手、寺院なら合掌し、目を閉じながら神仏への願い事やお礼を心の中で唱える。
金額は決まっていないが、多くの人は硬貨を賽銭として投入していて、願いにかけた語呂合わせの金額が使われることも多い。たとえば、縁結びなら「ご縁(5円)がありますように」といった感じである。初詣では「福来い(2,951円)」を賽銭として投入する自営業者も多い。
六文銭とは、死者を葬る時に三途の川の渡船料として棺の中に納める六道能化の地蔵菩薩への賽銭である。
賽銭は、多くは神社・寺院の前に置いてある賽銭箱に投入する。ただし、賽銭箱が存在していない地蔵や神体の前にも、時おり参拝者によって賽銭が置かれることがある。博物館に展示されている仏像、神像の前にも賽銭が置かれていることもあり、「賽銭をあげないでください」と注意書きしてある場合もある。なお、トレビの泉の影響から、外国人をはじめ日本人でも、泉や池などに硬貨を投げ入れているのが多く目に入るが、水質汚染の原因となる場合がある。本来、賽銭は賽銭箱に入れるべきものである。
[編集] 歴史
本来神仏に祈願する場合、いにしえより主として五穀を紙に包み奉納したが、貨幣経済の進展に伴い米・雑穀より銭貨が増えしかもそのまま神前に置かれたので自然発生的に銭貨を受ける賽銭箱が生まれた。室町期の「快元僧都記」という僧侶の日記によると、1540年(天文9年)散銭櫃(さんせんびつ)なる箱が鶴岡八幡宮に置かれたという記述があり、これが記録に残る日本最古のものとされ、室町時代に伊勢参宮や本山詣が庶民に広がり、賽銭を奉る風習が定着し賽銭箱も一般化したといわれる。
[編集] 賽銭箱
多くの賽銭箱の形状は、長方形で、上部の蓋部分が梯子状になっており、内部に下向きの板を配して、中の金銭に手が届かない構造になっている。材質は、圧倒的に木製が多い。初詣をする人が多い寺社では、正月期間だけ特大の賽銭箱を設ける。
なお最近では、賽銭箱を無理にこじ開けたり、賽銭箱をそのまま持ち出したりする被害もあるため、そういった被害にあわないために金属製の賽銭箱なども使用されている。
賽銭箱形の貯金箱が観光地で良く売られており、遠足のお土産の定番である。
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