身分
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身分(みぶん)とは、人の社会的状態の中で外形的なもののことである。身分の例としては、地位・職業などがある。
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[編集] 社会上の身分
社会上の身分の例としては、職業の別、国籍の有無、住民であるかそうでないかなどがある。主に職業欄に記すものが多い。公務員・従業員・民法上の社員・個人事業主(職業欄は自営業などと記す場合が多い)・学生などがその例である。
- 法的な身分としては、皇族の身分、公務員の身分、法人・結社の役員、従業員等の身分がある。以下に述べる。
- 公人(特に皇族及び選挙により選出された政治家、選出された特別職を公人という)
- 皇族(男子皇族、女子皇族、皇族と婚姻した女性)
- 公務員身分の例
- 特別職国家公務員(内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官、国会議員、大使、公使、裁判官、裁判所職員、防衛庁職員、自衛官)
- 一般職国家公務員(中央省庁職員、独立行政法人職員)
- 非常勤の特別職国家公務員(、官庁の事務補助員など。その他、即応予備自衛官、予備自衛官、国勢調査員など)
- 特別職地方公務員(都道府県知事、副知事、市町村助役、市町村収入役、地方議員)
- 一般職地方公務員(都道府県職員、都道府県警察職員、市町村職員、教育公務員、消防組合職員)
- 非常勤の特別職地方公務員(消防団員、水防団員)
- 民間人の身分の例(広義の意味では皇族以外。政治家や特別職の公務員は公人に含むが、民間人に含む場合もある)
- 法人の身分
- 学生の身分
- 親族法上の身分
- 直系血族
- 傍系血族
- 姻族
- 戸籍筆頭者
- 父及び母
- 妻ないし夫
- 嫡子または養子
など
[編集] 親族上の身分
親族上の身分については、日本では民法に定めがある。民法における身分とは、親族法上の特定の地位をいう。例として嫡出子、非嫡出子などがある。
[編集] 犯罪上の身分
犯罪上の身分については、日本では刑法に定めがある。刑法において身分とは、特定の犯罪の主体となりに必要とされる特殊な地位または状態をいう。行為の主体にかかる身分が要求される犯罪を身分犯とよぶ。
例として、強姦罪における男性(女性を「姦淫」し得るのは男性のみであるから、犯人が「男性」という地位を有することが構成要件となっていると解釈できる)、収賄罪における公務員(犯人が「公務員」という地位を有することが構成要件となっている)などがあげられるが、これらに限られず「男女の性別、内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、すべて一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態」をいうとするのが、判例(最高裁昭和27年9月19日刑集6巻8号1083頁)である。
すなわち、犯人が犯罪行為との関係で他の一般人が有しない特殊の地位又は状態(男女の別も「身分」とされていることから理解されるとおり、「特殊」といっても「そのような地位又は状態を有しない人が相当多い」という程度の意味にすぎず、希少な地位又は状態に限るわけではない。)を有する場合に、その犯人の特殊の地位又は状態を身分という。
[編集] 真正身分犯と不真正身分犯
身分犯は、真正身分犯と不真正身分犯とに分けられる。
犯人の身分によって構成すべき犯罪行為(刑法65条1項)、すなわち、犯人が一定の身分を有することが構成要件となっている犯罪行為を、真正身分犯という。例として、収賄罪、強姦罪がある。
身分によって特に刑の軽重があるとき(刑法65条2項)、すなわち、犯人が一定の身分を有することで法定刑が加重され又は減軽されている犯罪行為を、不真正身分犯という。例として、常習賭博罪(犯人が常習者であることで通常の賭博罪よりも法定刑が加重されている)がある。
[編集] 封建社会の身分
いわゆる家柄・門地、世襲する地位、役職などを指した。民主主義が定着した国では、もはや過去のものとなったが、現実にはカーストなど封建主義的な身分制度や文化を維持している国・社会も少なくない。