逆噴射装置
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逆噴射装置(ぎゃくふんしゃそうち)、スラストリバーサとは、航空機を減速させることを目的とした装置である。主に、車輪ブレーキ、スポイラーと同時に使われる。
[編集] 仕組み
着陸の際、後輪の接地とともにスロットルレバーを操作し、ジェット噴射をする方向を切り替え、それによって速度を落とす。
一般的なジェット機では、搭載しているジェットエンジンの構造により2種類の方法があり、ターボジェットエンジンや低バイパス比型のターボファンエンジンでは、エンジン後方のノズルに蓋をするような装置があり、後方に噴射していた排気ガス全体を斜め前方に向きを変えて制動する(写真に写っているのはこのタイプ)。一方、近年の大型旅客機などに採用されている高バイパス比型のターボファンエンジンでは、コアエンジンを覆っているバイパス空気流のみの向きを変え、コアエンジンを通過してきた燃焼ガスについてはそのまま後方に噴射し続ける。つまり「逆噴射」とはいうものの、一部についてはそのまま後方への推進力として残っている。例としてバイパス比4(バイパス空気流4:燃焼ガス1)のエンジンでは、4が前方への噴射、1が後方への推力として残り、差し引き3の力で制動を行っているということになる(ターボファンエンジンのバイパス比については、ジェットエンジン#バイパス比を参照)。
尚、プロペラ機については、船のスクリューと同じようにプロペラの角度を変え(可変ピッチ)、それまで後方に押しやっていた空気を前方に押し出すことで制動を行っている。
[編集] 騒音
ジェット噴射の方向を切り替えてスロットルを開けた(エンジンを噴かした)状態になるため、その際とても大きな騒音が生まれるというデメリットがある。
[編集] 参考文献
- 谷川一巳 『旅客機・空港の謎と不思議』 東京堂出版、2005年。ISBN 4-490-20538-4