通級

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通級（つうきゅう）とは、日本の義務教育における特別支援教育の制度の1つである。

[編集] 概要

通級とは、小学校・中学校の通常の学級に在籍し、言語障害、情緒障害、弱視、難聴等のある児童生徒を対象として、特別な場で特別な教育課程によって指導を受ける制度を指す。通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度であることが通級対象の条件である。週1-3単位時間程度の指導を受け、それ以外の時間は通常の学級で過ごす。

「通級学級に関する調査研究協力者会議」の答申を受け、学校教育法施行規則を改正して、1993年度から正式な制度として始まった。その後通級児童生徒数は激増しており、文部科学省調べでは、2005年5月1日現在、38,738人が利用している。

また、2006年4月1日からは、学校教育法施行規則がさらに改正され、LD,ADHDが通級対象に加わるとともに、「自閉症」が情緒障害から分離して記載され、正式な通級対象となった。また、週1-3単位時間と定められていた「自立活動」の時間は、週8単位時間まで拡大することができるようになった。

ただし、LD,ADHD等のある児童生徒はただちに通級するということでなく、通級は通常の学級での指導の工夫や、ティーム・ティーチングなど他の方法を含めた選択肢の一つに過ぎない。また通級が妥当かどうかの判断の際、医学的な診断の有無にのみとらわれてはならないこととなっている。

また、通級を担当する教員は、基本的には一つの障害種に該当する児童生徒を指導するが、教員が有する専門性や指導方法の類似性等に応じて、当該障害の種類とは異なる障害の種類に該当する児童生徒を指導することができることとなった。つまり、たとえば「言語障害通級指導教室」であっても、LD、ADHD、自閉症など他の障害種に該当する児童生徒も、条件が満たせば担当することができるようになった。このことは、障害種別を廃し、個々の特別な教育的ニーズに応じた「特別支援教室」の構想にもっとも近いシステムになったことを意味すると指摘する声がある。

通級を担当する教員は、2000年度までの「第6次定数改善計画」で増員配置を事実上終了したが、その後も通級児童生徒数は増え続けている。

さらにLD,ADHD等が正式な通級対象に加わることとなったため、文部科学省は当初、15,000人規模の通級担当教員の増員を計画していたが、国の財力が及ばないため、2006年度はわずか282名の単年度増員配置にとどまっている。

一方、通級児童生徒のうち、3分の1は自分の学校に設置された教室に通う「自校通級」であり、残りの3分の2は、他校に設置された教室まで出向く「他校通級」となっている。他校通級の中には、片道2時間をかけて通う児童生徒がおり、親の会など諸団体は、通級担当教員の増員と専門性の向上のための取り組みを求めている。