酸化鉄
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酸化鉄(さんかてつ)には鉄の酸化数に応じて酸化鉄(II) および酸化鉄(III) が存在する。いずれも鉄の酸化物であり、銹を構成する成分である。
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[編集] 酸化鉄(II)
酸化第一鉄とも呼ばれる。IUPAC命名法では酸化鉄。
[編集] 化学的性質
常温常圧で黒色の固体。空気のないところで蓚酸鉄(II)を熱すると生ずる。酸化鉄(III)に比べて表面が密なので、鉄固体の表面をこの物質で覆うことによりさらなる酸化を防ぐことができる。鉄棒などの表面に銹止めとして使われている。
[編集] 酸化鉄(II)
IUPAC命名法では四酸化三鉄。俗に四三酸化鉄とも呼ばれる。含まれている鉄の酸化数の割合は、II:III=1:2である。
- 化学式 Fe3O4
- 式量 231.5
- 融点 1,565℃
[編集] 化学的性質
アンモニア製造の触媒。酸化皮膜。常温常圧で黒色の固体。
赤くなるまで熱した鉄に水蒸気を作用させると生ずる。黒銹とも言う。磁鉄鉱(マグネタイト)。
[編集] 酸化鉄(III)
酸化第二鉄とも呼ばれる。IUPAC命名法では三酸化二鉄。俗に三二酸化鉄と称する。
- 組成式 Fe2O3
- 式量 159.7
- 融点 1,538℃
[編集] 化学的性質
常温常圧で非常にもろい赤褐色の固体。水酸化鉄の脱水や、自然酸化によって生ずる。赤鉄鉱を構成しており、これを還元して金属鉄を得る。「赤錆」とも呼ばれる鉄銹であり、鉄の自然酸化によってこの物質ができることによって生ずる。赤色顔料・弁柄として使われ、磁気テープの磁性体材料として広く使われている。