弁柄
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弁柄(べんがら、オランダ語:Bengala)は、赤色顔料のひとつ。英語ではRed Iron Oxide(直訳すると「赤色酸化鉄」)、Red Ochre(「赤土」)、Indian Red(弁柄を原料とする赤色絵具の名に由来)と呼ばれる。紅殻(べにがら)、代赭(たいしゃ)、ライトレッド(Light Red)、インド赤(-あか)、インディアンレッド(Indian Red)、ヴェネチア赤(-あか)、ヴェネツィアンレッド(Venetian Red)、マースレッド(Mars Red)、テラローザ(Terra Rosa)、ターキー赤(-あか)、血朱(けっしゅ)、鉄朱(てつあか)、鉄丹(てつたん)、酸化鉄赤(さんかてつあか)とも呼ばれる。
酸化第二鉄(赤色酸化鉄、酸化鉄(III)、Fe2O3)からなり、酸化鉄系顔料では最も生産量が多い。かつてインドのベンガル地方産のものを輸入したために「べんがら」と名づけられた。天然に産するものもあるが、今日弁柄は合成されたものが多く使われている。顔料としてのカラーコードは合成弁柄が Pigment Red 101 で、天然弁柄が Pigment Red 102 である。化学的には鉄の赤錆と成分的に同じといえる。
着色力・隠蔽力が大きく、耐熱性・耐水性・耐光性・耐酸性・耐アルカリ性のいずれにも優れており、安価な上無毒で人体にも安全なため非常に用途は多い。セメントやプラスチック、ゴムの着色、塗料・インク・絵具等に用いられる。欠点は地味でなおかつ鮮明さに欠けることで、鮮やかなものでは橙赤色~赤紫色をしているが、普通は渋い赤褐色をしている。そのためライトレッド、インディアンレッド、ヴェネチアンレッド、テラローザといった弁柄を使ってつくられた絵具は一般的には赤というより茶色の絵具として認識されていることが多い。