金剛杵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金剛杵(こんごうしょ、サンスクリットvajra)は、仏教における密教法具の一つ。執金剛神が手に持っているのも金剛杵である。
仏の教えが煩悩を滅ぼして菩提心(悟りを求める心)を表す様を、古代インドの短剣状の武器ヴァジュラに譬えて法具としたものである。
日本には奈良時代から平安時代にかけて中国から伝わった真言密教とともに初めて伝来したものと考えられる。護摩など密教の儀式において用いられ、祭壇に置かれている。古くは輸入して用いられていたが、平安時代以降は国産の物が増え、今日日本の寺院において輸入品が用いられることはほとんどない。
基本的な形は棒状で、中央に柄があり、その上下に槍状の刃が付いている。刃の数や形によっていくつかのヴァリエーションがあり、それぞれ固有の名称をもつ。また柄に鬼の顔の飾りがついたものがあり、これを鬼面金剛杵と呼ぶ。
[編集] 主な金剛杵
- 独鈷杵(とこしょ、どっこしょ)
- 槍状の刃が柄の上下に1つずつ付いたもの。漫画「孔雀王」において主人公が独鈷杵を用いたことから有名になった。
- 三鈷杵(さんこしょ)
- 刃がフォークのように三本に分かれたもの。空海が三鈷杵を中国から日本に向けて投げたと言う伝説がある。
- 五鈷杵(ごこしょ)
- 中央の刃の周囲に4本の刃を付けたもの。金剛杵の中では最も頻繁に用いられ、祭壇の一番手前に置かれている。
- 九鈷杵(きゅうこしょ)
- 中央の刃の周囲に8本の刃を付けたもの。大威徳明王の三昧耶形とされる。
- 宝珠杵 (ほうじゅしょ)
- 柄の上下に刃ではなく如意宝珠を付けたもの。宝生如来の三昧耶形とされる。
- 宝塔杵 (ほうとうしょ)
- 柄の上下に刃ではなく宝塔を付けたもの。大日如来の三昧耶形とされる。
カテゴリ: 仏教関連のスタブ項目 | 仏具