銀のトゲ
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『銀のトゲ』(ぎんのとげ)は、喜多尚江による漫画。「月刊メロディ」(白泉社)において2000年2月号から2005年11月号まで連載された。全24話(番外編ふくむ)。 平安時代の日本を舞台にした少女漫画。"渡辺綱と茨木童子の物語"をもとに、吸血鬼の主人公とその幼馴染の友情を描いている。
銀のトゲ | |
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ジャンル | 時代劇ファンタジー |
漫画: 銀のトゲ | |
作者 | 喜多尚江 |
出版社 | 白泉社 |
掲載誌 | 月刊メロディ |
レーベル | 花とゆめコミックス |
発表期間 | 2000年 - 2005年 |
巻数 | 5巻 |
話数 | 24話 |
目次 |
[編集] あらすじ
時は平安時代。源頼光に仕える渡辺綱はある日、ふとしたことで幼馴染の茨木童子と再会する。しかし茨木は盗賊団の副将となっており、綱は都に仕える四天王。敵同士でありながら、綱は茨木を気遣い、支えていく。
[編集] 登場人物
主要人物・盗賊団・貴族・その他に分けて解説する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主要人物
- 茨木童子(いばらぎどうじ)
- 主人公。優しく他人思いな性格。生まれつき銀髪に金の瞳という風貌で幾度となくいじめられてきた。茨の中に捨てられていたのを綱に助けられる。後に床屋の親方に育てられるが、自分が人の生き血を吸わなければ生き長らえない体質だと気づき、家を出る。その後盗賊団首領である酒呑と出会い大江山に移住、盗賊団の副将となる。
- 母親譲りの美形ゆえ、よく女と間違われている。茨木はこれを利用して、女装でエサ(主に男性)を誘惑している。後に母親は中納言家の娘と判明。父親は不明。
- 美女の血が好物だが綱によく「せめて体力のある男の血にしろ」と言われているので、一時期「あきるほど男を誘惑」したらしい。綱いわく「ある意味才能だな」。もちろん女性にもモテるが、茨木自身は女の子とあまり親しくならないようにしている(男とはもっと親しくならない)。
- 苦手なものはニンニク・薬玉・陽の光・八稜鏡など。従来の吸血鬼とは違い陽の光を浴びても死にはしないが、多少体が弱る。夏にはよく夏バテを起こす。
- 幼名は銀(しろがね)。茨木童子という名は茨の中に捨てられたことから自分でつけたそうだ。子どもの頃は泣き虫だったが、ある事件で「一生泣かない」という誓いを立てた。恋人の山吹を失った時をのぞき、その後は何があっても泣かなかった。
- 渡辺綱(わたなべのつな)
- 準主人公。素直な性格で恋には鈍感。金髪に青い瞳をしている。都に仕える頼光四天王の一人で、実は茨木の幼馴染。頼光から銘刀「髭切」(茨木を斬った後鬼切と名を変える)を預かっている。桂姫に好意を抱いている。
- 貴族だが、東国出身で育ちがあまり良くないので庶民っぽい。
- 美女に弱く、惚れっぽい。一度女装した茨木(正体を隠し細蟹と名乗っていた)に好意を抱いたことがある。細蟹が茨木の変装だとわかった時にはものすごく落ち込んでいた。
- 和歌が大の苦手で、和歌の意味を履き違えることがある。それゆえ佐由理の思いもわからなかった(水音で声がほとんどかき消されていたせいもあるのだが)。
- 茨木によく血を与えているのでたびたび貧血になる。ひどい時には意識を失い夕方まで目覚めなかった。
- 桂姫(かつらひめ)
- 京一の美姫と称されるほどの美女で、大変男性にモテる。茨木の良き理解者。山吹のいとこ。
- 梛(なぎ)
- 綱の幼馴染で、受領の娘。女の子っぽいことが大の苦手だったので、常に男の格好をしていた。髪に梛の葉をつけている。茨木に好意を抱いている。
- 特技は弓矢。その腕前はほとんど百発百中(一度手を滑らせて茨木に当てるところを誤って綱を射殺しそうになった)。
- 茨木に少しでも近づこうと一回盗賊団に入ろうとしたことがある。しかしその時は茨木に「入られると迷惑です」と言われ(これは茨木が梛のためを思ってわざと冷たく接した)、あきらめた。
- 茨木は梛に人間らしくない所を見せたくないなどの理由から(出会った当初の理由は「自分以外の人の血を吸ったら絶交だ」と綱に言われたから)、梛の血を吸わなかった。それからも梛は幾度となく自分の血を吸えと言ったのだが、結局それが叶ったのは茨木と最後に会った日のみであった。
[編集] 盗賊団
- 酒呑童子(しゅてんどうじ)
- 茨木が所属する盗賊団の首領。異国の血が混じっているらしく、赤い髪に緑の瞳という変わった風貌をしている。酒呑いわく、「自分と茨木は鬼っ子」らしい。マイペースな性格で、盗賊村の住民のことを第一に考えている。茨木と付き合いは長いが、茨木の本性は知らなかった。
- 星熊童子
- 盗賊団一の知識人で、盗賊団の中では唯一茨木の正体を知っていた(第十四話で村全員に知られてしまうが)。恋人の白雪を(間接的に)茨木に殺され、最初は茨木を恨んでいたが、その後に許し、茨木の理解者となる。
- 唐熊童子
- 盗賊団の一員。異国人である父から受け継いだ青い瞳のせいで村人に化け物扱いされ母親が病で死んだことにより、本物の化け物である茨木を恨んでいる。茨木や酒呑と最初に出会ったのは越後国の国上寺で侍童をしていた時だった。
- 後に、茨木を陥れようと盗賊村の場所を頼光に密告、褒美に貴族になることを望むが、現実の厳しさを教えられて青い目を潰そうとする。しかし茨木にそれを止められ、茨木を助けにきた梛を矢で射ったことで茨木を覚醒させる引き金となる。その後茨木に助けられて牢から逃げ出した。
- 佐由理(さゆり)
- 盗賊村の住人。茶色の長髪と同色の瞳を持つ。綱に好意を抱いているが、綱の鈍感さゆえ気づかれていない。
- 父親は貴族で平民の母親と結婚したのだが「何があっても必ず迎えに来る」と言い残し、結局来なかった。佐由理の母親はその言葉を信じ、佐由理の父親を待ち続け、迎えに来ないまま佐由理を出産、後に死亡する。そのことがあってから、佐由理は信じることがバカだと思っている。母親の形見である蝙蝠扇を持ち歩いていることが多い。
- 金熊童子
- 盗賊団の一員。金髪に独眼。かなり腕が立つ。
- 虎熊童子
- 盗賊団の一員。体中に虎のような傷跡がある。金熊と同じく、かなり腕が立つ。
- 猪熊童子
- 盗賊団の一員。体が大きく力も強いが、性格は子供っぽい。乱暴な性格ゆえ親に捨てられ、拾ってくれた人間にも利用されては捨てられていた。そんな時に盗賊村で茨木と出会い優しくしてもらったことから、茨木のことを慕っている。
- 白雪
- 盗賊村の住人で、星熊の恋人。茨木に操られて何度も血を与えていた。茨木がもう白雪の血を吸うのはやめようと決めた矢先、吹雪の日に崖から落ちて死亡した。
- 赤鬼・青鬼
- 盗賊村に住んでいる双子。そっくりで慣れない人には見分けがつかない。いたずらっ子。
[編集] 貴族
- 坂田公時(さかたのきんとき)
- 頼光四天王の一人。四天王の中で一番冷静。
- 卜部末武(うらべのすえたけ)
- 頼光四天王の一人。少し楽天的なところがある。
- 碓井貞光(うすいのさだみつ)
- 頼光四天王の一人。慎重な性格で、綱と盗賊村に迷い込んでしまった時には村に何かあると察していた(綱は全く気づいていなかった。綱が気づいたのはその村にいた細蟹という少女が茨木の変装だと気づいた時だった)。
- 山吹(やまぶき)
- 貴族の娘で、不治の病(症状などから肺結核と思われる)を患っていた。茨木と出会い恋人となったが、病状が悪化し死亡。遺言で「私が死んだら私を全部食べて。私の変わりに生きて」と言い残し、茨木はそれを実行した。後に鬼童丸の能力によって土の身体でよみがえったが、茨木を助けるため陽の光の元に出て消滅した。茨木は彼女を失ったときのみ涙を流し、その死後も「大好きな少女」と想いつづけた。
- 憲平親王
- 東宮で、後の冷泉天皇。供もつれず外出するなどの奇行から、物の怪つきの東宮と言われていた。女房である小菊に毒を盛られるなどのことがあって、茨木に殺してもらうことを望んだが、拒否された。そのかわり、憲平が死ぬ時には茨木が必ず食べに来ると約束した。
- 桜児
- 中納言家の娘で、茨木の実の母。茨木の体質を恐れたが、ずっとそばにいたいという思いから失明、その後茨木と再会した時に視力が戻った。
- 紅姫
- 茨木と綱が子供の時に山で出会った姫君。想い人が来ないと嘆いていて茨木と綱が山で一番紅い紅葉を取ってくると約束したが、その紅葉を受け取る前に想い人が来たらしい。紅紅葉の重ねの着物を着ていた。
[編集] その他
- 鬼童丸
- 茨木の同族。髪は普段黒で、満月の夜や感情が高ぶった時にだけ銀髪となる。血のない死体に自分の血をかけると自在に操れる、満月の夜に一人だけ死んだ人間をよみがえらせる(ただし太陽の光に当たると消滅する)などの能力をもつ。
[編集] 登場人物の年齢について
本作品の中で、年齢が発表されているのは梛(第十三話時点で16歳)、山吹(享年13歳)、憲平親王(18歳)のみである。憲平親王即位が967年であることから本作品の時代は966年か967年であると想定されるが、その通りでいくと渡辺綱が13か14歳ということになり、幼馴染である梛より年下となってしまうので(身長差などからして年下ということは考えにくい)、時代は無視しているのではないかと考えられる。そのように考えると大体茨木と綱は17歳くらいであると思われる。また、茨木と年があまり変わらない酒呑童子は18歳くらいと予想できる。
[編集] 登場する地名など
本作品で茨木達が住んでいる山。同じ京都ではあるが、日本海に近いため平安京とはかなり距離がある。
茨木と綱が再会した場所。現在は普通の橋となっており、晴明神社に古い橋の一部が残されている。
- 鬼岩洞
鬼童丸が住んでいる洞穴。モデルは香川県の女木島。しかし京からはかなり離れているため場所はフィクション。
[編集] 関連作品
- 酒呑童子がメインの話。茨木や頼光四天王も登場している。
[編集] 外部リンク
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