階名
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階名 (かいめい) とは、音名が楽譜に対して絶対的な音の高さに従って付けられている音の名前であるのに対し、主音との関係によって音階の各音に付けられた名前である。一般にイタリア音名を流用する。
長調にあっては、主音をドとし、上に向かって以下レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シと名付ける。
短調にあっては、長調と同様に主音をドとする場合と、主音をラとし、上に向かって以下シ、ド、レ、ミ、ファ、ソと名付ける場合があるが、日本では後者が一般的である。後者は、同じ全音階を使う長調と短調(この関係を平行調と呼ぶ)が共通の階名を使うことができる(全音階の各音に固定した階名を与えることができる)メリットがある反面、音階の各音の性格を明確に表すという本来の階名のメリットがあいまいになるデメリットがある。
階名で歌うことを階名唱法と呼び、また、ドが音名に対して移動するので移動ド唱法と呼ぶことがある。これに対して、音名で歌うことを音名唱法、固定ド唱法と呼ぶ。移動ドと固定ドのどちらが有利であるかという議論は古くからあり、決着を見ることがないが、移動ドの方が理論的であると言われながら、実際には固定ドの方が多く使われているのが現状である。おおざっぱに言って歌唱には移動ドが、楽器演奏には固定ドが適しているようである。
トニックソルファの場合は別として、音名と異なり、階名の各音に♯や♭が付いたり、調号の付いた音に が付いたりしても、それを言い表すことはしないのが普通である。
主音がドであったりラであったりすることによる混乱を避けるためには、数字が用いられる。この場合、主にローマ数字の小文字を使い、主音から上に向かってi、ii、iii、iv、v、vi、viiとする。