静電気
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静電気(せいでんき)とは、物体(主に誘電体)に電荷が蓄えられる(帯電する)現象、および帯電した電荷のこと。
2種類の誘電体(絶縁物)の摩擦によって発生する電荷の蓄積のほか、帯電した物体との接触などによっても生じ、物体の表面に蓄えられる。雷もまた、雲に蓄えられていた静電気によって引き起こされる放電現象である。なお、静電気は紀元前600年頃タレスによって発見された。 日本においても静電気学会があり、研究されているが、静電気自体が完全に解明されておらず、現象面での静電気防止技術としていろいろな物が開発されている。
誘電体をこすり合わせたときに生じる静電気の符号は、物体の組み合わせによってきまる。組み合わせたときに正の電荷を生じるものを右に、負の電荷を生じるものを左になるように並べると、誘電体を一直線上に並べることができ、この配列のことを帯電列と呼ぶ。
なお、物理学用語として正しい用法ではないが、冬場などの乾燥状態で多く見られる、摩擦等によって生じ物体に蓄積された電荷が「バチッ」と音を立てて一気に火花放電する現象のことを指して静電気と称することがある。
[編集] 生活の中での静電気
日常生活のなかで、静電気の発生が問題となることがある。じゅうたんの上を歩くことによって、床と人体との間で静電気が生じたり、特に化学繊維を用いた衣服がこすれることによって帯電したりすることがある。静電気の電圧が高くなると、火花放電となって観測される。空気が湿っていると静電気が逃げやすくなるので、これらの現象は湿度の低い季節におこりやすい。日本においては、冬場の室内で暖房器具(特に電気暖房)を用いている際にそのような条件が整うことが多い。人体表皮からの火花放電はおおむね痛みを伴い、やけどの跡が確認できるものもある。
通常は流れる電流も小さく生命機能に影響を与えることはないが、時として危険なこともある。
とくに可燃性気体や火薬などを扱う場所で火花放電が起こると、爆発や火災などの大事故になり得る。通常、こうした可燃性の危険物を取り扱うような作業をする際は、静電気の起こりにくい木綿などの服を着用し、静電気のたまりにくい導電性の高い材質で作られた靴を履くことが求められ、業務としてそれを行う際には規則として定められている。扱う部屋や建物に入室する際にも、アースされた金属板に手をつけるなどして電位を中和してからドアをあける。
ICなどの半導体部品を扱う際には、静電気による高電圧が素子を破壊する危険がある。また、静電気によるほこりの付着も嫌うため、コンピュータ工場などをはじめとした精密電気機器の作業場所では、静電気が起こりにくいような服装をしたり、体の一部をアースに接続しておくなどの対策が実施される。静電気を中和するイオナイザーといった機器が利用されることもある。一般家庭において、PCの内部を触るときなども、電子部品に触れる前に筐体の金属部分に触れるなどして静電気を逃がすのが安全である。ホビーとして各種の電子回路などを扱う際にも静電気には気をつけたほうがよく、アースのためのクリップ付きコードなどが市販されている。
なお、セルフ式のガソリンスタンドでは、揮発したガスが突然に発火する現象がしばしばみられる。客の着衣等における静電気による火花が原因とされ、注意がうながされている。スタンド従業員は静電気防止のユニフォームを着ているためにこうした事故はおこらないが、一般客が自ら給油する際には特に注意が必要である。
[編集] 関連項目
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