頌栄
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頌栄(しょうえい)は様々なキリスト教典礼における三位一体への賛美において歌われる賛美歌である。元来は、聖務日課で詩篇や聖書中の賛歌(カンティクル)が唱えられた後に付けられたものである。これによって、旧約聖書の詩歌を、キリスト教での利用に適したものとしたのである。
かつてのカトリック教会の典礼では頌栄はでラテン語で唱えられていたが、現代では各国語で唱えられている。
ラテン語における典型的な頌栄歌は次の通りである。
- Gloria Patri, et Filio, et Spiritui Sancto. Sicut erat in principio, et nunc, et semper, et in saecula saeculorum, Amen.
- 栄光は父と子と聖霊に。初めのように今もいつも世々に。アーメン。
上記と同内容の祝文(祈祷文)は、日本の正教会では「光栄」(スラヴ語 Slava)「今も」(スラヴ語 I Ninye)で指示されるもので、全文は
- 光栄は父と子と聖神に帰す、今もいつも世々に アミン。
讃詞(トロパリ)や一連の祝文を複数歌う場合に間を「光栄」と「今も」で挟み、頻繁に用いている。
いくつかの英語の頌栄はプロテスタント礼拝において頻繁に使用されている。 多くの異なる教派の中で頻繁に使用される2種類の頌栄のひとつは:
- Glory be to the Father
- And to the Son
- And to the Holy Ghost.
- As it was in the beginning,
- Is now, and ever shall be;
- World without end. Amen.
- 栄光あれ、父に
- そして子に
- そして聖霊に。
- はじめにあったように、
- 今もあり、これからもあるように;
- 世々限りなく。アーメン。
これはかなり逐語的にラテン語頌栄を翻訳している。"The Book of Common Prayer"(イギリス国教会祈祷書)で、「グローリア・パトリ」に当たるものとして用いられて、広く使われるようになった。
多くの教派の間で見られるもうひとつのものは:
- Praise God, from Whom all blessings flow;
- Praise Him, all creatures here below;
- Praise Him above, ye Heavenly Host;
- Praise Father, Son, and Holy Ghost. Amen.
- 神を賛美せよ。すべての祝福は神から流れ出る;
- 彼を賛美せよ、この地上で、すべて造られたものよ;
- 天で彼を賛美せよ。汝ら、天の万軍よ;
- 父、子、聖霊を賛美せよ。
- アーメン。
これは、トーマス・ケン(1637-1711)が、全寮制学校での礼拝のために書いた朝・夕の賛美歌の最後に付けられていた頌栄を、独立して用いるようになったものである。アメリカの教会では、献金の感謝の歌として歌われることが多い。
主の祈りの終わりにオリジナルの聖書の聖句に付け加えられた次の文は、よく知られた頌栄のひとつである:
-
- 国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり
- アーメン