B-4
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B-4(ビー・フォー)は、アメリカのSFテレビドラマ、『スタートレック』シリーズの劇場版『ネメシス/S.T.X』に登場するアンドロイド。ブレント・スパイナーが演じた。日本語吹替の声優は大塚芳忠。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
B-4は、『新スタートレック』シリーズの主要登場人物であるデータと同じく、サイバネティックスの権威、ヌニエン・スン博士によって生み出された、アンドロイドである。テレビ版の第162話『アンドロイドの母親』(Inheritance)において、データと彼の兄であるローアより以前に、3体のアンドロイドが作られた事が明らかにされているので、B-4はこの内の1体と考えられる。コラリス3号星にアンドロイドに特有の陽電子反応をキャッチしたエンタープライズ号(U.S.S.エンタープライズE)が、そこでバラバラになって散らばっているB-4を回収し、起動させた。
ピカード艦長の推測によると、彼の「B-4」(ビー・フォー)と言う名前は発音が似ていることから"before"(ビフォー)、つまり「以前」と言う意味で、データやローアより前に作られたと言うことを暗示している。ちなみに、ローア(Lore)は「知識」、データ(Data)は「情報」と言う意味で、小説版『ネメシス』では、スン博士の風変わりなネーミングセンスを、ピカードはやや呆れ気味に語っている。
彼は所謂プロトタイプであり、外見や内部構造はデータやローアと同一であるが、陽電子頭脳(ポジトロニック・ブレイン)は初期型のものであり、その機能は制限されている。データはピカードとラ=フォージに頼んで、自分の記憶をB-4にダウンロードさせようとするが、機能に差がありすぎるためか、上手くいかなかった。
実はB-4の発見はロミュランの新執政官、シンゾンが仕組んだ罠であった。どのような経緯でB-4がシンゾンの手中に収められたのか定かではないが、彼はピカードの身柄と惑星連邦の艦隊情報入手のため、B-4をわざとエンタープライズに発見させるように仕向けたのである。寸での所でデータが入れ替わって偽の情報を教えたため、情報漏洩は防ぐことが出来たが、危険を避けるためにデータはやむなくB-4の機能を停止させた。
シンゾンとの戦いでデータが自らを犠牲にしてピカードとエンタープライズを救い、全てが終わった後、ピカードはB-4を再起動して、彼の兄弟であるデータが、いかに人間的で立派な人物であったかを話して聞かせる。予想通り、未発達のB-4のポジトロニック・ブレインでは、ピカードの言うことは理解できなかった。彼にとってデータは自分と同じアンドロイドに過ぎないのだ。
だが、ピカードが部屋を後にしようとしたとき、B-4が不意に何かを口ずさむ。それは、データがライカーとトロイの結婚式で歌った「ブルー・スカイ」の歌詞だった。ピカードはB-4が歌詞を思い出せないので手助けに歌を口ずさむ。
このB-4の行動が、データから記憶をダウンロードした結果がようやく現れ始めたものなのか、それともただの機能異常なのかは定かではないが(B-4が口ずさんだのは歌のほんの一部にすぎない)、わずかに見え始めた彼の変化にピカードは希望の笑みを浮かべ、新たな旅へ出発するのだった。