Basic Input/Output System
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Basic Input/Output System(ベーシック インプット/アウトプット システム、略称 BIOS - バイオス )はファームウェアの一つで、コンピュータに搭載されたプログラムのうち、ハードウェアとの最も低レベルの入出力を行うためのプログラムである。コンピュータの電源を投入した直後に実行される。
BIOSはもともとはCP/Mの用語であり、ギリシャ語のβίος(Bios, 命)から由来している。
1997年頃までのPCでは、BIOSはROMに格納され、コンピュータに組み込まれた形で提供された。ROMライターといった特殊な装置が無い限り、BIOSは書き換えられないのが普通であった。
それ以降は書き換えが自由なフラッシュメモリに格納された製品が出回るようになり、バグ対応や新機能サポート時のBIOSの書き換え作業には特殊な装置の必要がなく、書き換え用のフロッピーディスクを作成してそこから起動すれば、簡単に書き換えが可能となった。さらに2000年以降はフロッピーディスクから起動せずとも実行中のオペレーティングシステム上で直接書き換えすることができるようになった。
しかしBIOSの書き換え中に停電など何らかのトラブルで書き換えに失敗した場合、そのコンピュータは全く起動しなくなる。したがって、メーカーは「パソコンに問題があってその解決方法がBIOSアップデート以外に存在しないときやOSのアップデート時にのみアップデートを実行してください」などと注意を促している。
BIOSはコンピュータの起動の根幹であるため、内容が破壊されるとそのコンピュータ自身では再セットアップすら出来なくなる。復旧する方法はBIOS ROMの交換、または電気店などでROM焼きをしてもらうのいずれかである。また、2000年以降に出回っているコンピュータ(マザーボード)によっては、ROMを2つないし4つ持っているものもあり、別バージョンへの切り替えができるようになっているものもある。
従来は、アプリケーションが周辺機器の制御を行う場合に、入出力ポートを直接触ることなくBIOSが提供するサブルーチンを呼び出すことで制御が行えるようになっていた。しかし最近ではこの役割がOSにとって代わられており、アプリケーションはBIOSを使わず、必ずOSが準備したシステムコールなどを通じてBIOSが提供する機能を使うようになっている。BIOS機能を使わなくなったOSも多く、BIOSはOSを起動するための機能だけを提供するようになっているものもある。
パソコンを自作する際、キーボードやマウス、フロッピーディスクドライブの接続にUSBを利用する場合には、USBレガシーサポートとUSBブートデバイスの設定をONに設定しないとOSのインストールが行えなくなる。
しばしば、PCトラブルの際に「BIOSを初期化しましょう」といった表現がなされることがあるが、これはBIOSメニューの設定を初期状態に戻すCMOSクリアを意図して誤った表現となったものであり、BIOSそのものを書き換える訳ではないので注意が必要。