ClearType
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ClearType(クリアタイプ)は、Windows XP以降における文字のアンチエイリアシング方式。ディスプレイのR, G, Bの各サブピクセルを発色させ、その色調を微妙に変化させることで、実解像度以上(横方向の解像度を3倍する)の繊細な文字表示を可能にしている。
Windows上でのピクセルとディスプレイ上でのピクセルが対応する液晶ディスプレイで表示するのが最も効果的であるが、階調レベルの制御によりアパチャーグリル管などの一般的なCRTディスプレイにおいても実用的な効果が得られる。なお、ClearTypeとほぼ同様の技術は1998年に登場したMac OS 8.5などでも使われている。
なお、ClearTypeによるフォントの視認性の向上は、使用するフォントそのものに大きく依存するため、従来の標準アンチエイリアスとの単純な比較はできない。
ClearTypeの根幹技術として、ヒンティングとスムージングがある。ヒンティングとは文字の見た目を美しくするため、文字を構成する線の太さ・幅を調整する技術のことである。スムージングはアンチエイリアスと同様、ピクセルのぎざぎざを微妙な発色の違いによって埋める技術のことである。
ヒンティング情報はフォントに埋め込まれるため、この情報が多いフォントほど美しく表示できることになる。
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[編集] Windows XPにおけるClearType
- サブピクセル別の発色により、文字の端は赤や青に色付いている。6倍に拡大。
なおWindows XPまでの日本語版Windowsにおいては、プリインストールフォントとなっているMS ゴシック、MS 明朝が低サイズではビットマップフォントを表示するために、この機能の恩恵を半分も受けられていないのが現状である(なお、Microsoft Office付属のHGフォントにはビットマップは含まれていないためClearTypeが利用可能)。次期バージョンのWindows Vistaではメイリオへの置き換えでこの問題を解決している。
[編集] 画像処理ソフトでの応用
ClearTypeの技法は、文字だけでなく画像処理にも応用できる。Adobe Photoshopなどカラーチャンネル別に編集ができるレタッチソフトを持っているのであれば次の手順で実験できる。
- 画像を取得する。表示したい画像の縦横2倍から3倍程度の大きさがよい。画像モードはRGBカラー。
- 赤チャンネル、青チャンネル(もしくは緑)をそれぞれ反対方向に1ピクセル横にずらす。
- 画像を縦横1/2から1/3に縮小する(バイリニア法またはバイキュービック法)
- 液晶ディスプレイ(たとえば携帯電話)に表示して効果を確認する。
- 画像が毛羽立っているように見える場合は (2) においてずらす方向をそれぞれ反対にしてみる。
原理的には原画像の解像度は表示したい画像の縦横3倍が望ましい。縦横2倍でも垂直方向の画素が畳み込まれるのである程度の効果は得られる。
[編集] 問題点
あまりにも小さなフォントの視認性は、ビットマップフォントに比べて低いことがある。 例えば、「電」や「載」等の文字は、ヒンティング処理によってその線分要素が省略されすぎる、文字の高さがそろわないなどの問題が発生するケースがある。
[編集] 関連
- アンチエイリアス
- サブピクセルレンダリング
- Subpixel rendering (en)
- Microsoft PowerToys for Windows XP(ClearType Tunerを含む)