CTSS
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CTSS(Compatible Time-Sharing System、互換タイムシェアリングシステム)は、MIT計算センターで開発された世界初のタイムシェアリングシステムのひとつ。1961年に最初の実演が行われ、1973年までMITで稼動していた。当時、MITのProject MACにもCTSSの2号機があったが、それ以外のサイトで採用されたことはない。CTSSに関する論文は1962年春季合同コンピュータ会議で発表された。
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[編集] 解説
その名称にある"Compatible"(互換)とはIBM 7094の標準のバッチ処理OS Fortran Monitor System (FMS) との互換性を意味している。CTSSはバックグラウンド機能で提供された仮想7094上でFMSをそのまま実行することができたのである。バックグラウンドFMSジョブは問題なく磁気テープにアクセスできたが、フォアグラウンドプロセスの実行をじゃましたり、それらが使用するリソースを奪うことはできなかった。
CTSSは技術的には後世に多大な影響を与えたとは言えないが、タイムシェアリングが可能であることを示したという意味では影響が大きかった。これは新たなコンピュータの利用形態の具現であり、その後継であるMulticsは後のOSに影響を与えている。
[編集] 詳細
CTSSには世界初のコンピュータ化された組版ユーティリティの一種があり、ユーザー間の電子メール機能も実装されていた。
MIT計算センターの職員 Louis Pouzin はCTSS向けの RUNCOM と呼ばれるコマンドを開発した。これはファイルに書かれているコマンド群を実行するもので、UNIXのシェルスクリプトの原型である。RUNCOMにはパラメータ置換機能もあった。
CTSSは改造されたIBM 7094メインフレームを使用している。32,768×36ビットワードの磁気コアメモリを2バンク持っている(通常は1個)。うち1バンクはタイムシェアリング管理プログラムが使用し、もう1個をユーザープログラム群が使用する。また、特殊なメモリ管理ハードウェア、クロック割り込み機能、特定の命令をトラップする機能などもあった。入出力ハードウェアはほとんどIBMの標準品である。6本のデータチャネルには以下のデバイスが接続されていた。
- プリンタ、パンチカードリーダ、およびパンチャー
- IBM 729 磁気テープ装置、IBM 1301 ディスク記憶装置(後に3800万ワードの容量を持つ IBM1302 にアップグレードされた)
- IBM 7320 磁気ドラムメモリ、1秒で32Kメモリバンクをロードでき、186Kワード容量(後に、1/4秒までアップグレードされる)
- 2つの独自高速ベクターグラフィックディスプレイ
- IBM 7750 伝送制御装置、112台のテレタイプ端末を接続可能。端末には IBM 1050 や Model35 などが使われた。いくつかの端末は遠隔地にあり、公衆電信回線で接続されていた。
ITS(Incompatible Timesharing System)もMITで開発された初期の革新的タイムシェアリングシステムのひとつである。これはMulticsの方向性を良しとしない人々が開発した。名称はCTSSに対するジョーク。
[編集] 参考文献
- F. J. Corbató, M. M. Daggett, R. C. Daley, An Experimental Time-Sharing System (IFIPS 1962年)
- Robert M. Fano, The MAC System: A Progress Report (MIT Project MAC, 1964年) CTSSの使用方法
- Jerome H. Saltzer, CTSS Technical Notes (MIT Project MAC, 1965年) CTSSの実装の詳細
- Jerome H. Saltzer, Manuscript Typing and Editing (MIT Computation Center, 1964年) 世界初の電子組版システムについて
[編集] 外部リンク
- ジョン・マッカーシー, Reminiscences on the History of Time Sharing タイムシェアリングという概念の起源について
- The IBM 7094 and CTSS: CTSSシステムプログラマの個人的回想
- The Origin of the Shell RUNCOMが後のシェルに与えた影響
- CTSS Source Paul Pierce のコレクションより