DURA-ACE
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DURA-ACE(デュラエース)はシマノが作るロードレーサー用の自転車コンポーネントである。同社では自転車のコンポーネントにグレードを設けて販売しているが、その中でも最高峰に位置する。専門に開発を行う部署が置かれると言われているが実際はそのような部署を置いて開発がされているわけではない[要出典]。「DURA-ACE」というモデル名は、ジュラルミンという素材、デュラビリティ(英:durability、耐久性、耐久力)と、さらに「世界で一番に」という思いを込めた「エース」に由来している。発売当初1年ほどは「ジュラエース」とのカタカナ表記だったため、発売から30年が経過しても「ジュラ」と呼ぶ者が少なからず存在する[要出典]。シマノはほとんどの部品を海外工場で生産しているが、マウンテンバイク向けの最高級コンポーネントであるXTRとデュラエースは下関工場で生産されている。 いわば、デュラエースとXTRは日本で生産されている唯一の自転車用コンポーネントと言っても良い。 このコンポーネントを採用するプロの自転車選手も相当数に上っており、ロードレースなどではカンパニョーロ社の最高級コンポーネントであるRECORDとシェアを競っている。
[編集] 歴史
- 1971年:「デュラエース」と命名されたクランクがシマノから発売された(通称71デュラ)。
- アメリカ向けの高級アルミ外装変速機「クレーン」が開発されたのと同時に、それに見合った高級感のある部品として開発された。クレーン(crane)は鶴の意。当時シマノの外装変速機には鳥の名前にちなんだ商品名がつけられていた。
- ヨーロッパでの戦略としてレース用部品を開発することが至上命令だった。
- 1972年:「Dura Ace Component with Crane model」が高級コンポーネントとして発売された。
- 1978年:デュラエースEXにモデルチェンジ(通称72デュラ)。
- 1980年:エアロ化させたDDクランクとDDペダル、ハブが追加され、マイナーチェンジ。
- 1982年:デュラエースAX(通称73デュラ)が誕生し、EXと併売される。
- 1984年:7400系にモデルチェンジ(通称74デュラ)。
- 1996年:7700系にモデルチェンジ(通称77デュラ)。
- 2003年:7800系にモデルチェンジ(通称78デュラ)。
ハンドルから手を放さずに変速できるシステムを採用している。
[編集] 歴代モデル
- Dura Ace Component with Crane model
- デュラエースEX(通称72デュラ)
- RDにハッチプレートメカニズム、駆動系にユニグライドメカニズムが採用され、さらに現在にいたる潮流を生み出したカセットフリーハブもボスタイプハブと併売された。
- デュラエースAX(通称73デュラ)
- デュラエースAXでは全てのコンポーネントがエアロ化された。当時はエアロが時代の最先端との認識が強まっており、実用性よりもエアロ効果をねらった形状が優先された結果、互換性や実用性の低下を招き一部では不評だった。しかしデュラエースAXの個性的な機構や外観・思想は一部マニアの支持を集めた。初期にはフロント82mmのエアロハブなどもあった。
- DDハブにはユニバランスメカニズムが採用され、従来よりも左右対称へと近づいた。またスポーク穴を通過させる方向も揃えられた。カセットフリー歯は11tトップが採用された。これはフロントのインナー38t対応までを含め、駆動系全体のコンパクト化、軽量化を目的としていた。DDペダルは軽量化しすぎたために、ロードレース中に折れる事故が多発した。このためデュラエースAX導入の際に補強が行われた。その際に重量も増加するなどしたため、計3世代が存在する。
- またデュラエースAXで採用されたニューポジティブメカニズムなどのインデックス機構内蔵のRDは7段専用ハブに対応していたが、当時は様々な会社のパーツを自由に組み合わせて自転車を組むといった慣習が広まっていた。パーツを組み合わせるには互換性が重要であるが、この機構は互換性を考慮していなかったため、結局互換性の低さを理由に後期モデルではこの機構も取り外された。空力が重視されるようになりFDの横型化が行われたが、ケーブルをガイドで90度方向に曲げるために引きが重かった。また専用台座をフレームに直付けする必要があるなど従来品との互換性はなかった。台座やピラー、Wレバー台座などにもエアロパイプ専用部品が存在するなど、互換性関連で問題が多かったモデルだとする見方がある。
- 7400、7410系(通称74デュラ)
- 「ニューデュラエース」との通称を持つ。デュラエースAXとは異なり、Wレバー側にインデックス機構を採用した。当初は「子供のおもちゃ」と揶揄されていたSIS(シマノインデックスシステム)だが、利便性の良さから大ヒットし、すぐにヨーロッパのプロ選手も使うようになるなどベストセラーとなった。しかし、完全に主流となったのは1990年代中盤以降のことである。
- 数回マイナーチェンジが行われ、当初リア6段変速だったのが7段、8段と変更された。このマイナーチェンジにより7401系, 7402系, 7403系が誕生した。その後大規模なマイナーチェンジが実行され、7410系として発売された。このマイナーチェンジではそれまでのコンポーネント志向を超え、STI(シマノトータルインテグレーション)という概念が取り入れられた(STIという概念自体は下位グレードやMTBコンポに先に採用されていた)。また世界初の「デュアルコントロールレバー」として、ブレーキと変速の両方を手元でコントロールするブレーキレバーが導入された。
- 7700系(通称77デュラ)
- 7200系までのライトウエイト思想へと回帰したモデルである。7400系デュラエースは、DDペダルの反省から軽量化より剛性が優先されていたが、7700系は軽量化と高剛性を両立させることを目指して開発された。またリアが9段変速となった。その後のマイナーチェンジで、製品ラインナップの中に完組ホイール等が追加された。
- 7800系(通称78デュラ)
- 10段変速となり、ホローテッククランクなどさらにライトウエイト思想が強化された。また一部コンポ、クランク形状などは7300系に見られるようなエアロ効果、エアロデザインが採用されている。
[編集] 関連項目
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