Flak36/37 88mm砲
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制式名 | Flak36/37 | |
砲身長 | 4930mm | |
重量 | 6861㎏ | |
口径 | 88mm | |
発射速度 | 不明 | |
最大射程 | 約2km | |
製造国 | ドイツ | |
製造 | クルップ社 |
Flak36/37 88mm砲は、第二次世界大戦にドイツで使用された高射砲である。
目次 |
[編集] 開発経緯
第一次世界大戦以降、航空機の技術は大幅な発展を遂げ、以前と比較するとはるかに高高度を飛び、速度も向上した。そのため各国では対空兵器も大幅な能力の向上を求められることとなり、ドイツでも新型対空砲の開発を進めることとなった。しかし、敗戦国であったドイツはヴェルサイユ条約の規定によって殆どの兵器の自国生産を禁止されていた。そこでドイツの兵器メーカーであるクルップ社はスウェーデンの兵器メーカーであるボフォース社と生産提携を結び、極秘のうちに新型対空砲の開発に乗り出した。
[編集] 8.8cm Flak36/37の登場
当時ボフォース社で量産され、英国などに輸出された高射砲は口径が75mmであった。そこでドイツ軍はこの75mm高射砲をベースに、ドイツ軍標準口径である88mmに拡大、より量産に適したものに改良することにした。1928年には「8.8cm Flak18」を開発、1分間に15-20発の砲弾を発射できる優れた発射速度を発揮した(当時の標準的発射速度に比べれば、倍の速度である)。名前が1918年採用を意味する数字なのは、ヴェルサイユ条約で新規開発と保有が禁じられていた兵器であったため、この砲は第一次大戦中に既に設計されていた、という欺瞞工作のためである。これは1935年の再軍備後のドイツ軍の正式対空砲として採用されたが、クルップ社はさらに改良された「Flak36」を開発した。主な特徴は、発射方向の切り替えを電源で行うことができ、砲身の交換も簡単にできるように改良された点である。また砲車も改良され、砲の前後に関係なく取り付けることができるようになり、移動を迅速にした。さらに派生型として、観測点から砲へデータを送る機械式アナログコンピュータというべき装置「コマンドゲレーテ」を加えた「Flak37」も開発された。主に多種目標を相手にする野戦用としてFlak36が、固定陣地での防空任務専用としてFlak37が配備された。なお。8.8cm Flak18~37の砲身はそれぞれに互換性があり、古い砲架に新型の砲身、またはその逆で使用されている例が確認できる。
対空砲として開発された88mm砲であったが、同時に優れた対戦車砲としての能力も有していた。当初より対戦車砲としての使用を考慮して開発された本砲であるがスペイン内戦での経験によって改めてドイツ軍はその対陸上戦闘能力を確認した。野戦において約1.5km先の100mm以上の装甲板を貫徹する能力を有するFlak36/37の能力に匹敵する兵器は、第二次世界大戦初期には存在しなかった。
[編集] 第二次世界大戦における88mm砲
長い射程と正確な砲撃で絶大な威力を発揮した88mm砲は、第二次世界大戦開戦後、ヨーロッパにおける東西戦線及び北アフリカ戦線で使用された。汎用性は高く、対地、対空などさまざまな用途に使用できる多用途砲として絶大な威力を発揮した。北アフリカ戦線でのエルヴィン・ロンメル将軍指揮下のアフリカ軍団で、少数の88mm砲がイギリス軍の戦車に対して大きな打撃を与え続けたことはよく知られている。ただし、この時期にアフリカで活躍した88mm砲はFlak36ではなく旧型のFlak18の方が多い。
88mm砲の高い装甲貫徹能力から、同砲をもとに改造された戦車砲を搭載したティーガーI戦車が1942年に配備された。また、より強力な砲弾(以前の88mm用とは互換性が無い)を用い、より長い砲身を持つ高射砲8.8cm Flak41や、対戦車砲8.8cm Pak43が開発され、後者の車載型がIII/IV号対戦車自走砲ナースホルンやティーガーIIの主砲として搭載された。
独特な発射音から、ドイツ軍将兵はその音を聞くと「88(アハト・アハト)だ!」と沸いたという。