FRONT
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FRONT(フロント)とは、東方社により、1942年から1945年までに10冊が制作された対外宣伝誌(刊行されたのは9冊)。号によるが、多いときは、15か国語で刊行された。
ソ連の『CCCP НА СТРОЙКЕ(建設のソ連邦・ソ連邦建設)』(1930年創刊)の影響を大きく受けた(その「日本版」を目指した)写真グラフ雑誌。東方社は、陸軍参謀本部(第八課)の肝いりで設立されており、そのふんだんな資金により制作されたこともあり、レイアウト、用紙、印刷等、雑誌としての質は極めて高い。写真作品に関しては、エアブラシを用いた(小川寅次がかかわっている)フォトモンタージュを多用しており、戦前における最高の技術レベルといえる。
制作にかかわった主な者は、以下のとおり。
美術(グラフィックデザイン)では、原弘、多川精一、小川寅次、今泉武吉、蓮池順太郎、高橋錦吉ら、写真では、木村伊兵衛、渡辺義雄、菊池俊吉、濱谷浩、渡辺勉、光墨弘、大木実、林重男、薗部澄、風野晴男、桂小四郎、関口満紀、西野和夫、坂口任弘、辻潤之助ら
他、企画等には、林達夫、岡正雄、岡田桑三、太田英茂、中島健蔵なども参加した。陸軍の建川美次が、東方社の総裁となっていた時期もあった。
各号の内容は以下のとおり(かっこ内は通称)。
- 1-2合併号(海軍号)
- 3-4合併号(陸軍号)
- 5-6合併号(満州国建設号)
- 7号(落下傘部隊号)
- 8-9合併号(空軍(航空戦力)号)
- 10-11合併号(鉄(生産力)号)
- 12-13合併号(華北建設号)
- 14号(フィリピン号)
- 特別号(インド号)
- 特別号(戦時東京(戦時下の東京)号):(印刷されたが、刊行前に空襲で焼けてしまったために、刊行されず)
[編集] 参考文献
- 戦争のグラフィズム/多川精一/平凡社ライブラリー/2000年(単行本は1988年刊行)
- 焼跡のグラフィズム/多川精一/平凡社新書/2005年
- FRONT復刻版(全3期)/多川精一監修/平凡社/1989年~1990年