GNP (商法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
GNP(ジーエヌピー)とは、「義理(G)」、「人情(N)」、「プレゼント(P)」の三要素のこと。転じてこの三要素によって商品の販売をする、またはその三要素を主とした営業手段および商売方法のこと。このような営業手段はGNP営業、GNP商法、GNPセールスとも言う。主に保険外交員(生保レディーなどの保険募集人)が保険商品(生命保険が主流)を販売する時に用いる手法である。
[編集] 概要
保険業界では保険商品の販売において、このGNPは基本中の基本とも言える営業手段である。
日本人は「義理」、そして「人情」に厚い性格であり、また「プレゼント」を貰うことについて、有り難さや申し訳ない気持ちを持つ事が多く、お礼やお返しをするのが常である。このような日本人の心理特性を巧みに利用するのがGNPという営業手段であり、一種の心理操作の道具とも言える。多くの日本人がこのGNPによって保険に加入してきた事から、代理店手数料をより多く手中に収めるための一番効率の良い方法として、多くの保険外交員がこのGNPに則って保険商品の販売を行ってきた。
しかしながら、保険への加入は本来「義理」「人情」「プレゼント」などで決めるものではない上に、保険外交員による巧みな心理操作によって客となる者に求められる理想の保険の形から逸脱しやすく、将来的に客の首を絞める結果となる危険性が非常に高い。そのため、GNPによる保険への加入は浅はかであるとしてGNPによる勧誘を強く拒否・否定する客が近年増加しており、保険を販売する側である保険外交員もGNPだけに頼らなくなってきているが、古参の保険外交員や生保レディーの中には現在もこのGNPによる勧誘を続けている者もおり、まだまだ客が賢くなったとは言えない状況が続いている。
なお、このGNPはその手法全てが悪いものではないにしろ、本来の保険の形を崩す原因の一環であるとして、一種の悪徳商法と見なす者も存在する。また、GNPはいわゆる営業最優先の表れであり、このような商売方法が保険金不払い事件の発生に一役買ったとも言われている。
[編集] GNPによる販売の例
「義理」「人情」「プレゼント」の例は以下の通り。
- 義理 - 保険外交員の友人や商売相手などが、その保険外交員との付き合い上仕方無く保険に加入する
- 人情 - 保険外交員の家族や友人などが、その保険外交員に頼まれて情けで保険に加入する
- プレゼント - 保険外交員が菓子などの物品を客にちらつかせ、客がそれと引き換えに保険に加入する(一種の釣り行為と言える)