Il-86 (航空機)
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Il-86(イリューシン86;ロシア語:Ил-86イール・ヴォースィェミヂスャト・シェースチ)は、ソ連のイリューシン設計局の開発したワイドボディ旅客機である。
[編集] 概要
1971年から開発が始まり、1976年12月22日に初飛行、1980年から運用が開始されたソ連初のワイドボディ旅客機である。機内は2列の通路を持ち、客席は3-3-3の横9列配置となっている。
1995年までに約120機がつくられた。最初はアエロフロートだけが使用したが、後に中国の中国新彊航空でも使われた。
ソ連には当時高バイパス比のターボファンエンジンがなかったため、Il-62と同じシリーズの低バイパス比エンジンを4基使用した。そのため燃料消費効率が悪く、同時期の欧米のDC-10やエアバスA300に比べて航続距離が短かった。
また旅客機としてではなく、早期警戒機として軍用型も開発されIl-87と命名されたが、実用配備にはならずかわりにA-50が選択された。
本機を特徴付けるものが乗客の乗降方法で、メインデッキの扉ではなく(緊急脱出専用で乗降には使用しない)、下部デッキ前方にある乗降口から乗り、横の荷物置場に荷物を置いて階段で客室に上がるという形をとっている。ボーディングブリッジが整備されていない地方空港での運用を考慮したものである。
[編集] 要目
- 全長:59.54 m
- 翼巾: 48.06 m
- 全高: 15.81 m
- エンジン:クズネツォーフ設計局製NK-86 ターボファンエンジン×4
- 推力:13,000 kg
- 乗員: 3
- 座席数: 234-350
- 最大離陸重量: 206,000 kg
- 巡航速度: 900 km/h
- 最大高度: 11,000 m
- 航続距離: 5,000 km (全負荷で3,500 km)
カテゴリ: 旅客機 | ソ連・ロシアの航空機