MZ-1500
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MZ-1500は、シャープより1984年6月に発売されたパソコン。
MZシリーズのひとつで、MZ-700の後継機にしてMZ-80Kシリーズの最終機種。PSGやPCGを追加し、補助記憶装置としてデータレコーダではなくクイックディスクを標準搭載した。
320×200ドット/8色カラーのグラフィック表示、PSGを2個搭載した6重和音のサウンド機能など、ホビー用としてはまずまずのスペックを有していたが、8ビット御三家と比較した場合、グラフィックの解像度が低い、テンキーが無いなどの見劣りする面から、御三家程の人気を得るには至らなかった。クリーンコンピュータゆえにBASICはQDで供給された他、PCGエディタ等の充実したアプリケーション/ユーティリティが付属していた。
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[編集] クイックディスクの標準搭載
MZ-1500の最大の特徴はクイックディスクを標準搭載したことである。MZ-1500が発売された当時、市販ソフトウェアの供給媒体はカセットテープが主流であり、カセットテープからソフトウェアを読み込むためには数分から数十分を要した。クイックディスクは片面 (64KB) を約8秒で読み書きすることができたため、カセットテープと比較して非常に早くソフトウェアを起動することができた。この点は、当初はMZ-1500が唯一8ビット御三家より優れていたと言って良い。このクイックディスクはカセットテープのように裏返して両面使うことができたため、128KBの保存ができた。
- クイックディスクの生媒体は1枚450円と、当時のフロッピーディスクと比較して安価だった。
- 8ビット御三家がフロッピーディスクドライブ(FDD)を標準搭載するようになり、フロッピーディスクが普及した1980年代後半には、クイックディスクの安価・高速という優位性が影の薄いものとなった。
- 他のMZシリーズやMSXの外部記憶装置としてクイックディスクドライブが登場した他、クイックディスクを搭載したMIDIシーケンサなども登場したが、広く普及したとは言えず、クイックディスクはマイナーな記録媒体の宿命(安くならない、流通しない、入手が困難)を辿っていった。
[編集] グラフィック機能
320×200ドット/8色カラーのグラフィック表示は、同一価格帯のパソコンとしては他メーカーの機種に劣るものではなかった。しかし、パソコンを使用する目的の一つとして流行し始めた「CGを描く」という分野においては、その解像度の低さゆえにタイリング等の技法が通用せず、不向きであった。一度に1024個も定義可能なPCG機能は、X1のそれをはるかに上回る。
- 但しPCGの定義データはグラフィックRAMの領域に置かれるため、グラフィックを使用する場合、PCGは24個しか定義できない。
[編集] サウンド機能
SN76489を2個搭載し、6重和音(+2ノイズ)という強力なサウンド機能を有している。
- 内蔵スピーカーからは2個のSN76489の出力がミックスされて出力されるが、チップ毎に独立した外部出力端子を装備している。そのためソフトウェアの工夫次第でステレオ効果を出すことは出来るが、サウンド機能がステレオであるとは言いがたい。ちなみにこの外部出力端子は1、2と表記される。
- オプションのボイスボードを使うと、34種類の音声メッセージをしゃべらせることができる。
[編集] 資産の継承
MZ-80Kシリーズの最終機種ということもあり、豊富なソフトウェア・ハードウェア資産を継承できた。データレコーダーは搭載していないものの、カセットインターフェースは内蔵しており、旧機種用のBASIC等も利用できた。