TAP進学教室
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TAP進学教室(ティーエーピーしんがくきょうしつ)は、かつて東京都に存在した株式会社中央総合教育研究所が運営していた進学塾。主に小中学生を対象とし、集団授業と個別授業を展開していた。通称「タップ」。キャッチコピーは「入試で燃え尽きない頭脳の育成」であった。
資本の面でも転々としており、1990年代はエスエス製薬傘下の同仁医薬の子会社であり、教室にはエスカップが配布されていた。しかし、エスエス株を保有していたコスモ信組が破綻、1997年には栄光ゼミナールを運営する栄光の資本が入り、主要紙に報道される事態となった。
この時期、栄光がTAPに肩入れしたのは、腐っても鯛状態のTAPブランドを軸に、補習塾の色合いの濃かった栄光ゼミナールに加え、上位層向けの塾事業に手を出しておこうとする意図があったようである。(未確認)
栄光傘下のもと、CIの一新、栄光とTAPの講師の交流、教材の整理統合、小規模校舎の展開、個別指導の開始などの改革を矢継ぎ早に行うが凋落はいかんともしがたく、21世紀を迎える頃には御三家合格が1桁台という状況に陥った。数千人いた生徒も末期には千人を切っていた。
この状態のTAPから、有能な講師はSAPIX(1989年にSAPIXに移動した講師の手引きもあった)などに転職する現象が発生し、SAPIXは全盛期のTAPのような状態となった。その他の講師も転職・退職を行い、人手不足をTAP全盛期の卒業生で補う羽目になった。しかし、全盛期TAP経験者の指導は凋落TAPの生徒にはマッチせず、入試の結果も散々であった。
2004年、学習塾栄光ゼミナールなどを運営する親会社・株式会社栄光に吸収された。その当時のTAP進学教室の各教室は栄光ゼミナールの教室となる(東京校・市川校など)か、近隣の栄光ゼミナールと合併(三軒茶屋校・三鷹校など)、または閉鎖(横浜校)された。
ちなみにSAPIXは、1989年に同塾の講師の一部が独立する形で設立されている。
[編集] 黒板授業について
黒板授業とは、予習をせずに講師の話と板書で学習し、復習に力を入れる学習形態のことである。例えば日能研などでは事前に「受験練成」などのテキストが配布されるのに対し、TAPでは授業中にテキストを配布する。生徒は黒板の内容を書き写しつつ講師の話を聞くので、リテラシーが高くないと対応できない。これは優秀な生徒が多く集まる時期はよかったものの、凋落するTAPには似合わぬシステムとなり、授業の機能不全を招く結果となった。現在のSAPIXの授業形態でもある。
[編集] 中央総合教育研究所の関連会社
- 中央アートフォーラム(教材出版、略称CAF) → 現・エデュケーショナルネットワーク
- 中央コンピューターシステムス(1987年設立、成績処理、略称CCS)→ 栄光ソフト開発事業部 → エデュケーショナルネットワークシステム事業部