すざく
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
すざく(第23号科学衛星ASTRO-EII)は日本のX線天文衛星。 2005年7月10日に内之浦宇宙空間観測所よりM-Vロケット6号機により打ち上げられた。 高度約570km、軌道傾斜角31度の略円軌道に載っており地球を1日に約15周して観測を行なう。 名前は伝説上の神鳥であり宇宙の守護神でもある朱雀が由来の一つである。詳細は[1]参照。
あすか(ASTRO-D)に続く5機目の日本のX線天文衛星として計画された。 2000年2月10日にM-Vロケット4号機によって打ち上げられ、第一段ロケットの燃焼異状により軌道投入に失敗したX線天文衛星ASTRO-Eの代替機である。
X線源となる高温のプラズマの観測、遠方の銀河団を観測し宇宙の進化についてのデータの提供、ブラックホール候補天体や活動銀河核の観測を目的としている。
円筒形の本体の直径は2.1mで太陽電池パネルを展開すると幅5.4mとなる。 鏡筒を伸ばすと全長6.5mになる。 総重量は1680kg。
観測機器は5つの軟X線望遠鏡と1つの硬X線望遠鏡を搭載している。 観測機器はアメリカとの共同開発である。
5つの軟X線望遠鏡のうちの1つは口径40cm、焦点距離4.5mで検出器としてX線マイクロカロリメ-タを搭載しエネルギー分解能12eVの高分解能観測を行なう予定であった。 しかし、この装置は2005年8月8日に装置を冷却する液体ヘリウムがすべて気化して失われてしまう不具合が発生し使用不能となってしまった。
残り4つの軟X線望遠鏡は、口径40cm、焦点距離4.75m、X線CCDカメラを検出器としており広視野の観測に用いられる。 あすかに搭載されていたX線CCDカメラよりも分解能が約1分と向上され、また有効面積の向上も図られている。
硬X線望遠鏡はあすかでは観測できなかった10~700keVの高エネルギーX線を検出するために設けられた装置である。
[編集] トラブルの原因
「すざく」のマイクロカロリーメータを冷やすために設置された、ネオン冷却装置系にピンホールが生じ、そこから液体ヘリウムが気化し漏れ出したものと推定されている[要出典]。宇宙環境は、太陽光のあたる面と太陽光のあたらない面では非常に温度差が激しいため、液体ヘリウムが気化する可能性がある。なお、SFや啓蒙科学誌等で絶対0度の宇宙という表現が見られるが、恒星間などの場合を除いて、主恒星系の周りでは、恒星の輻射による温度が生じることになる。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 日本の人工衛星 | 宇宙望遠鏡