アゾジカルボン酸ジエチル
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アゾジカルボン酸ジエチル | |
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IUPAC名 | アゾジカルボン酸ジエチル |
別名 | DEAD |
分子式 | C6H10N2O4 |
分子量 | 174.15 g/mol |
CAS登録番号 | [1972-28-7] |
形状 | 赤橙色液体 |
密度と相 | 1.106 g/cm3, |
沸点 | 106 °C (13 mmHg) |
SMILES | CC(=O)ON=NOC(=O)C |
アゾジカルボン酸ジエチル(アゾジカルボンさんジエチル、英:Diethyl azodicarboxylate)は構造式CH3CH2O2CN=NCO2CH2CH3で表される有機化合物である。しばしばDEADと略記される。アゾ基と2つのエステル基を持つ。赤橙色の液体であり、様々な場面で反応試薬として用いられるが、極めて有害である。
シス体とトランス体の2つの異性体が存在するが、トランス体の方が支配的に存在している。
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[編集] 合成
広く用いられており市販もされているが、研究室で合成することも可能である。ヒドラジンをクロロギ酸エチルでアルキル化し、続いて塩素と反応させることで得られる[1]。
- 2 CH3CH2O2CCl + N2H4 → CH3CH2O2CN(H)N(H)CO2CH2CH3 + 2 HCl
- CH3CH2O2CN(H)N(H)CO2CH2CH3 + Cl2 → CH3CH2O2CN=NCO2CH2CH3 + 2 HCl
[編集] 応用
アゾ基に電子求引性のエトキシカルボニル基が2つ結合した構造であるため、電子受容体として優れている。この性質を生かし、光延反応やクリックケミストリーで重要な反応試薬として用いられている。ディールス・アルダー反応の基質にも用いられ、ビシクロ [2.1.0] ペンタンの前駆体合成への利用例が報告されている[3] 。
[編集] 安全性
毒性を持っており、衝撃に弱く、熱的にも不安定である。このため以前は純粋なものが市販されていたが、最近では40%トルエン溶液などとして供給されることが多い。
[編集] 参考文献
- ^ Rabjohn, N. "Diethyl azodicarboxylate" Organic Syntheses 28:58; Coll. Vol. 3:375.
- ^ "Diethyl azodicarboxylate" Kauer, J. C. Organic Syntheses, Collective Volume 4, page 411.
- ^ Gassman, P. G.;Mansfield, K. T. "Bicyclo(2.1.0)pentane". Org. Synth. 49:1; Coll. Vol. 5:96
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