アチーブメントテスト
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アチーブメントテスト(Achievement Test)は本来の意味では達成度を測定するテストだが、単にアチーブメントテストと表現する場合は、かつては全国で中学生の高校受験前の学力テストとして行われていたものだが、徐々に姿を変え、近年では主として神奈川県で実施していた高等学校入学試験を指すことが多い。
[編集] 神奈川県におけるアチーブメントテスト
「ア・テスト」の略称で呼ばれ、中学校2年生の3学期1月時点で実施される考査であった。実施は神奈川県下一斉に行われ、表向きは「学習到達度を確認する」名目で実施された。 ただ、このテストは神奈川県内の公立高等学校の入学判定にかなり大きな比率で反映されることになっており、最大で25%(内申点と合算すると75%)という、異常なほどの高い比重が置かれていた。(神奈川方式)
アチーブメントテスト方式の利点として、「一発勝負の要素が強い入学試験の比率を下げる」というものもあったが、
- 筆記試験対象科目が非常に多かった
- 対象が国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科に留まらず、実技科目(美術・体育・音楽・技術家庭)の4教科にまで及び、生徒への負担が大きかった。
- 学習意欲を減退させる副作用
- アチーブメントテストで相応の結果を得られた者が、試験後に目標を見失うなど学習意欲を失うなどの問題が指摘された。
- 課外活動などが全く振るわなくなる
- 公立高校の入学判定に極めて重要な試験が、2年生3学期というかなり早い段階で実施されることから、多くの学生が部活動などの課外活動にそっぽを向くことになってしまった。
- 県外からの転入者に対する救済措置が全くなかった
- 中学3年など、アチーブメントテスト実施後に県外から転校してきた生徒は、入試判定資料中におけるアチーブメントテストによる点数が実質的にゼロになる。転入者対象の試験などは一切行われないため、転入者は非常に不利な扱いを受けることになった。
など、問題点があまりに多いため、1994年から段階的に廃止措置がとられ、1997年には全廃された。
高等学校において学校間格差があるように、中学校でも学校間格差が存在する。アチーブメントテストにはその格差を平均化する狙いもあったとされている。ちなみに神奈川県教育委員会はそれを否定している。