ウェスタンブロッティング
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ウェスタンブロッティング (Western blotting; WB) は電気泳動によって分離した蛋白質を膜に転写し、任意の蛋白質に対する抗体でその蛋白質の存在を検出する手法。単にウェスタンブロットとも。サザンブロッティング(南)、ノーザンブロッティング(北)の流れから、半ばジョークで命名されている(ちなみに「イースタン」はない)。前二者は核酸どうしの相補性を利用しているが、本法は抗体の特異性によって目的のタンパク質分子を区別している。よってイムノブロット (immunoblot; IB) とも呼ばれる。生命科学の研究者の間では、単に「ウェスタン」といえばこれを指す。
[編集] 概要
通常はタンパク質の立体構造を破壊するために、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)や2-メルカプトエタノールを加えたバッファーにタンパク質を溶解させる。これをSDS-PAGEにて展開し、ニトロセルロース膜やPVDF膜に転写する。この膜に対して免疫染色を行うことで、タンパク質を検出する。
単にタンパク質の存在を検出するだけでなく、そのタンパク質がどのような状態にあるかも(例えばリン酸基の修飾を受けているかなど)適当な抗体を用いる事で検出できる。また免疫沈降法という手法により、目的のタンパク質がどのようなタンパク質と結合しているかも調べる事ができる。このように生命科学の分野においては現在も極めて重要な手法として多くの研究者の間で重宝されている。狂牛病の二次検査で異常型プリオンの検出に用いられている手法の一つでもある。
[編集] 関連項目
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