ウォルフ・ライエ星
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ウォルフ・ライエ星( -せい、WR星、Wolf-Rayet Star)とは、特殊なスペクトルを持つ天体で、青色巨星である。
1867年にフランスのシャルル・ウォルフとジョルジュ・ライエ によって、この型の恒星が初めて発見された。ウォルフ・ライエ星のスペクトルには通常の恒星に見られる水素の線が無く、その代わりにヘリウムや炭素、窒素の幅の広い輝線が見られる。
大質量星において中心部の水素がすべてヘリウムに変換されてしまい、水素殻燃焼とヘリウム燃焼の段階に入ると主系列から外れて外層の膨張が始まる。
低質量星では膨張につれて表面が低温になるため赤色巨星となるが、大質量星では恒星風が強いため、膨張の過程で重力による束縛が弱くなった水素に富んだ外層を吹き飛ばして失ってしまう。そのため高温の内部が露出して青色巨星となる。これが、ウォルフ・ライエ星である。吹きとばされたガスが星の周囲に散光星雲として輝いていることもある。
そのスペクトルの特徴である水素の線が無いことは水素の外層を失っていることから、ヘリウムや炭素、窒素の幅の広い輝線は、恒星風によって吹き飛ばされている電離したこれらの原子を含むガスから発せられる輝線が、ガスの運動速度が非常に大きいためにドップラー効果によって幅が広がっているものとして説明される。
ウォルフ・ライエ星はスペクトル分類ではW型に分類され、さらに窒素の輝線の強度が強いWN型と炭素の輝線の強度が強いWC型、WC型の中で酸素の含有量が高いWO型に細分類される。
ウォルフ・ライエ星は大質量星の一生の末期の姿であり、やがて超新星爆発を起こすものと考えられている。ウォルフ・ライエ星は水素の外層を持たないので、この時の超新星の型はスペクトルに水素の吸収線を持たないIb型かIc型と考えられている。
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