エリドゥ
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エリドゥ(Eridu、エリドゥグ(Eridug)とも。)は古代メソポタミアの都市、又はその都市を拠点とした国家。シュメール王名表では人類最初の王権が成立した都市とされている。1000年以上にわたる神殿の拡張工事の跡が考古学的に発見されていることで有名である。
[編集] 遺跡
現代のイラク南部のアブ・シャハライン遺跡がエリドゥに同定されている。1940年代に本格的な調査が開始されて以来、都市神エンキ(ヌディンムドゥ)を祀るための神殿跡が少なくても1000年にわたり連続して発見されており、ウバイド文化とシュメール文化の連続性を示す証拠としてよく挙げられる。
[編集] 歴史
紀元前6千年紀には人間の居住が始まった。エリドゥには7つの丘があり、元々は三つの都市だったものが次第に合流して一つの都市として成立したと考えられる。シュメール王名表では、伝説的な大洪水の前に王権を持った5つの都市のうちの一つ、そしてその最初の都市としてエリドゥが挙げられている。それによれば最初の王アルリムは28800年間、次の王アラルガルは36000年間在位した。その後王権はバド・ティビラへ移ったという。
実際にエリドゥは大きな力を持った都市であったと考えられるが、その時代は歴史資料が多く得られる時代より遥か過去のことであり、具体的な政治史は殆ど何も分からない。シュメール初期王朝時代以降も宗教的に重要な都市ではあったが、エリドゥに拠点を置く国家が大勢力となることはなかった。ウル第3王朝時代には巨大なジッグラトが建設されている。
都市は紀元前4世紀頃まで存続した。