コリオリパラメータ
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コリオリパラメータとは、地球など回転する惑星上において運動する物体に働くコリオリの力の水平成分の係数であり、惑星渦度とも呼ばれ、一般にfで示される。緯度に依存して変化するパラメータであり、緯度をφ、惑星の自転角速度をΩとするとf = 2Ωsinφで与えられる。地球流体力学では、コリオリの力をと表記する。
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[編集] 近似
コリオリパラメータfは緯度に依存するパラメータであるが、考察する気象/海洋の現象のスケールに応じて簡略化することにより考察を加えられることが多い。
[編集] f平面近似
コリオリパラメータの緯度依存性が無視できるような空間規模の小さな現象(エクマン流など)の考察に用いられる。考察する緯度φ0におけるコリオリパラメータf0を定数として用いる。この近似に基づく直交座標系をf平面近似という。
[編集] β平面近似
ロスビー波や、スヴェルドラップバランスなどの考察に用いられる。コリオリパラメータfを現象の中心となる緯度φ0の周りでテイラー展開(φ = φ0 + y / R、ここでyは緯度φ0からの南北方向距離、Rは惑星の半径)すると、
となる。ここではベータパラメータと呼ばれる定数であり、コリオリパラメータをこのような線形関数で近似した直交座標系をβ平面近似という。
特に、赤道付近の現象を考察する際には、赤道におけるfが零となりf平面近似を用いることができないことから、f0を零としてf = βyとおく赤道β面近似が用いられる。