ゴマシジミ
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ゴマシジミ(胡麻小灰蝶 学名Maculinea teleius)はシジミチョウ科のチョウ。裏面にゴマ状の小さな斑点がある。地域によって変異の多い。前翅長18-24㎜。北海道から九州にかけて分布。湿原や草原で見られる。年1回、7-9月にかけて現れる。
北海道では長い地下茎によって道路法面を補強するために土手に植えられるナガボノシロワレモコウの広がりと共に各地で分布を広げているが、ワレモコウを食草にしている地域である青森から九州にかけての自然草原では極端に数を減らしている。一方、カライトソウを食草とするグループは一般に「山ゴマ」と呼ばれており、表面が黒化したものが目立つ。こちらは山深いこともあり個体数は安定している。一般に標高が高い地域は黒いタイプのものが多く得られる。
現在分布が確認されている都道府県は北海道、青森、岩手、群馬、新潟、山梨、長野、静岡、岐阜、富山、石川、福井、鳥取、島根、岡山、広島、大分、熊本、宮崎である。秋田、山形、福島、神奈川では絶滅、愛知でも2000年まで見られたものの、現在は記録がないため県内絶滅と考えられる。それにつながる岐阜県や長野の南部でも近年の記録はない。
三齢幼虫まではワレモコウの花を食べるが、大きくなるとクシケアリによって巣に運ばれる。巣に入った幼虫は、体から出る甘い液体をアリに与える一方で、アリの幼虫や蛹を食べて育つ。成長した幼虫はアリの巣の中で越冬し、翌年の7月中旬頃に成虫となる。アリは成虫になると同時に襲いかかってくるため、巣の出口や外で蛹になり、成虫となった途端に巣から逃げるように飛ぶ。