サミュエル・ウルマン
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サミュエル・ウルマン(Samuel Ullman, 1840年 - 1924年)は、ドイツ・ヘッヒンゲン出身のアメリカ合衆国の実業家。(詩人、教育者)。ユダヤ系ドイツ人であったため、迫害を避けアメリカへ渡る。 アラバマ州バーミングハムに住み、荒物商を営みながら執筆を続けた。80歳の記念に自費出版した『80歳の歳月の高見にて』に収められた詩「YOUTH」(青春)は名高い。この詩は第二次世界大戦後、アメリカの雑誌リーダーズ ダイジェストに掲載され、連合国総司令官を務めたダグラス マッカーサー元帥が座右の銘として執務室に掲げたことから、日本でも知られるようになった。経済界の先に立つ人物の間では古くから有名で、故・松下幸之助氏も座右の銘としていたと言われている。
━▽日本語詩▽━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
青 春
青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。 若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、 安・易(やすき)に就こうとする自らを戒め、冒険する心を忘れてはならない。 人間は年齢(とし)を重ねた時老いるのではない。理想をなくした時老いるのである。 歳月は人間の皮膚に皺を刻む が情熱の消失は心に皺を作る。 悩みや疑い・不安や恐怖・失望、これらのものこそ若さを消滅させ、 雲ひとつない空のような心をだいなしにしてしまう元凶である。 六十歳になろうと十六歳であろうと人間は、驚きへの憧憬・夜空に輝く星座の 煌きにも似た事象や思想に対する敬愛・何かに挑戦する心・子供のような探究心・ 人生の喜びとそれに対する興味を変わらず胸に抱くことができる。 人間は信念とともに若くあり、疑念とともに老いる。自信とともに若くあり、恐怖とともに老いる。 希望ある限り人間は若く、失望とともに老いるのである。 自然や神仏や他者から、美しさや喜び・勇気や力などを感じ取ることができる限り、 その人は若いのだ。 感性を失い、心が皮肉に被われ、嘆きや悲しみに閉ざされる時、人間は真に老いるのである。 そのような人は神様のあわれみを乞うしかない。