シートン動物記
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『シートン動物記』(-どうぶつき)は、アーネスト・トンプソン・シートンによって書かれた複数の著作を総称して、日本国内でつけられた名前である。日本以外では通じない呼び方であることに注意が必要である。
[編集] 概要
シートンの著作に「動物記」というものは無く、これは翻訳家内山賢次が命名したものである(自身の書籍に記述あり)。戦前シートンはその著作で世界的に大変有名であったが、内山賢次が1935年、初めてその邦訳を「動物文学」誌上に発表するまで日本人はほとんど誰もシートンについて知らなかったようだ。 1937年、内山賢次は単行本「動物記」全六巻を白揚社から発行、それの爆発的人気を受けすぐに増補改訂し全五巻で再発行、同時にシートン著の単行本(シートン自伝など)を何冊か翻訳発行し、戦後の1951年、「動物記」全18巻(評論社)に纏め(大幅追加・一部削除あり)発行された。
現在では複数の翻訳者・出版社が刊行に関与し、『シートン動物記』の作品名が異なっていることも珍しくない。作品の構成・選択も各書籍によって全く異なっている。また、1997年には「シートン動物誌」というタイトルの書籍も全12巻・今泉吉晴訳で発行されている。これは1926年発行のシートン著作「Lives of Game Animals(狩猟動物の生活)」全4巻の邦訳である。
- 作品名の異なる例:「狼王ロボ」「ロボー カランパウの狼王」「ロボ - カランポーの王様」など
[編集] 収録されている作品の例
邦訳名は集英社刊の藤原栄司訳に準じる。
- 私が知っている野生動物(1898) 'Wild Animals I Have Known'
- サンドヒル雄鹿の足跡(1899) 'The Trail of The Sandhill Stag'
- 灰色熊の伝記(1900) 'The Biography of A Grizzly'
- ロボ - カランポーの王様(1900) 'Lobo, the King of Currumpaw'
- ぎざ耳坊や - 綿尾ウサギの物語(1900) 'Ragylug'
- 狩られるものの生活(1901) 'Lives of the Hunted'
- クラッグ - クートネー峰の雄羊・ジョニー熊(1902) 'Krag and Johnny Bear'
- タラク山の熊王(1904)'Monarch, The Big Bear of Tallac'
- 動物の英雄たち(1905) 'Animal Heroes'
- ホッキョクギツネの伝記(1909) 'Biography of A Silver Fox'
- 安住の地の動物たち(1913) 'Wild Animals At Home'
- 裏町の野良ネコ(1915) 'The Slum Cat'
- 白いトナカイの伝説(1915) 'Legend of the White Reindeer'
- 森と自然の物語(1921) 'Woodland Tales'
- 旗尾リス(1922) 'Bannertail: The Story of A Gray Squirrel'
- チンク - 子犬の成長(1927頃) 'Chink and Other Stories'
[編集] 関連作品
- シートン (漫画)
- シートン動物記 (アニメ)
- シートン動物記 (漫画) - 白土三平による漫画化(内山賢次訳)
- 狼王ロボ - 原題'THE LEGEND OF LOBO', 1962年の米国映画, 監督:ジェームズ・アルガー