ジョブ (プロレス)
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プロレスにおけるジョブとは、やられ役を担当するプロレスラーが、予定通りないしは興行を盛り上げる形で対戦相手に敗北することを指す。「寝る」と表現されることもある。やられ役の事はジョバー(後述)と呼ばれる。
[編集] ジョブの重要性
プロレスはショービジネスである以上、観客を満足させることが最優先である。そのため、アングルで勝利者とやられ役の間にドラマを展開させ、ビッグマッチにおける決着戦で予定通りにジョブを実行する。
通常は、各プロレス団体内で設定されている格に基づいてジョブの担当者が決定される。地方興行でのメインイベントはトップレスラーとジョバーを組み合わせたタッグマッチが行われることが多い。
[編集] ジョバー
ジョブを担当するやられ役。団体が売り出そうとする新人や若手レスラー、外国人レスラーに負ける役目を持つ。前者の場合は、何度か勝利した上で「壁」としての重みを演出した上で敗北することが多い。これにより、売出対象に苦難を乗り越えたという経歴を付与することが出来る。後者の場合は、外国人レスラーの圧倒的な実力を演出するために数分で倒されることが大半。この他、目的に応じて様々な負け方をする。
他団体の王者クラスの相手に勝利した選手を、自団体内においてはジョバーとして用いることで団体間の序列を付けようする場合もある。
ジョバーは最終的には負けて相手を引き立たせる「噛ませ犬」だが、だからといって、ただリングに上がって漫然と試合を進め、フォールされれば終わりというものではない。これは映画において、作品の出来不出来が主人公の演技力と同じぐらい悪役の演技にかかっているのと同じことだ。相手を引き立たせて負けることが出来るジョバーは主人公役のベビーフェイスより重要である。
ジョバーがなによりも気をつけなければならないことは対戦相手の怪我。団体が売り出そうとしている選手に大怪我などさせたら目も当てられない。特に新人との対戦では相手が緊張してスティッフ(力が入りすぎてしまう状態)になりやすいので注意が必要である。
また、選手のキャラクターを観客にアピールできるように、対戦相手は相手の個性を引き出しつつうまく負ける必要もある。そのため、団体初登場レスラーのデビュー戦はレスリングのできる中堅どころがジョバーを担当することが多い。とくにこの傾向はWWEで顕著である。
かつての日本プロレス界では、腕に自信のある人間が道場破りに来た際は「何があっても責任はとらない」ということに同意する証文をとった上で、実力のあるジョバーに相手をさせ、徹底的に痛めつけてプロレスラーの強さを見せつけることもあった。有名なところでは藤原喜明のようにリングの上ではジョバーだが、影では強者であるというレスラーも多い。彼らはいざというときに団体・主催者等の意を汲んでシュートを行う際にも有用である。
[編集] 関連用語
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