ダイレクトカッティング
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ダイレクトカッティングとは、レコード制作方式の一つで、通常行われる記録媒体への保存と編集を行わず、マイクロフォンから収録した音楽・音響をそのまま(ミキシングなどの調整は行う)カッティングマシンに接続してレコード用ラッカー盤に音溝を刻む方式である。
[編集] 概要
磁気録音技術が実用化される以前のレコードはすべてダイレクトカッティング方式で収録されていたが、当時は記録時間が3、4分のSPレコードであったため実用になっていたといえる。その後LPレコード時代には、記録媒体に磁気テープを用いたアナログテープレコーダーが登場していたため、これをセッション録音、編集に使用し、SPに比べて格段に延びたLPレコードの録音時間を活かすことができるようになった。
その一方で、アナログテープレコーダーの性能的な限界から、記録再生過程での音質の劣化がわずかながらあったため、これを取り除くために、テープレコーダーを通さず、演奏時にリアルタイムでカッティングマシンに音声信号を入力しレコードの原盤を制作することが行われた。これがダイレクトカッティングある。
しかし、演奏およびカッティングが一発勝負であるため、許容できない演奏ミスやミキシング、エフェクト、カッティングレベルの調整不足等があるとレコード片面分が全面的にやり直しになってしまうため、制作費が高く、ごく一部の高音質を求めるオーディオマニア向け録音として企画されるにとどまった。
また、ダイレクトカッティングにはライブ録音に期待される演奏の緊張感が求められるため、敢えてこの方法に挑戦するアーティストもあった。
[編集] ダイレクトカッティング制作の例
- 日本ビクターのプロデュースによる。ドラム以外はアンプを通したエレクトリックサウンドのため、電気録音以前に行われたようなアコースティック録音ではないものの、難曲の数々を一発録りしているという点で興味深い。本作はテイク違いで二つの音源がある。現在CD化されているものは同時に録音されたテープをマスターとしている。
- 初回のみダイレクトカッティング制作。
- テープレコーダーを通さないためプレモニタができず、音溝が等間隔になっている。録音は公開で行われた。
高音質デジタル録音で有名なテラーク社も、デジタル導入前はダイレクト・カッティングを採用していた。