チャフ
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チャフ(英:chaff)は、日本語では電波欺瞞紙と書かれ、レーダーによる探知を妨害する物である。チャフを散布すると敵側レーダーの電波が乱反射されるため、自機の探知の妨害、レーダー誘導のミサイルの回避が可能になる。近年では軍用機や艦艇のレーダー警戒システムの一部として組み込まれ、レーダー照射を受けるとディスペンサーが自動的に散布するようになっている。
第二次世界大戦の最中の1940年にイギリスによってドイツの捜索レーダー「フライヤー」、射撃管制用測距レーダー「ウルツブルグ」や航空機用機上レーダー「リヒテンシュタイン」を妨害するために開発され、ウィンドウと命名された。チャフはアメリカ軍での呼称である。イギリス空軍の夜間爆撃では電波妨害装置と共に使用されてドイツ軍の高射砲や迎撃機の回避に大きな成果を上げた。
妨害しようとするレーダー波の波長に応じた長さである必要があり、元来、アルミ箔を必要な長さに切ったものが使用されていたが、現在では滞空時間を重視しプラスチックのフィルムやワイヤーにアルミを蒸着させたものが主流となっている。また、第二次世界大戦中の日本軍では、模造紙に錫箔を貼ったものが主に用いられた。