テキサスホールデム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テキサス・ホールデム(単にホールデムと呼ぶ場合もある)は、ポーカーの一種であるコミュニティ・カード・ポーカーの中で世界的に最も有名なゲームである。アメリカ国内のカジノにおいては最もポピュラーな種目であり、ポーカー世界選手権シリーズ(WSOP)のメインイベントでは賭け金無制限ルール(ノーリミット)によって行われるゲームである。
理論上は22名まで一度に遊ぶことができる(23名の場合はバーン・カード(後述)を利用しないことが条件)が、通常は2名から10名で遊ばれる。ポーカー自体に様々なルールのゲームが存在するが、テキサス・ホールデムはアメリカ以外のカジノにおいても非常によくプレイされるゲームの一つである(ただし場所によっては7カードスタッドやオマハ・ホールデムのほうがメジャーということもある)。
目次 |
[編集] 起源
いつ、初めてプレイされたという正確な資料が残っている訳ではないが、言い伝えによると1900年代初頭、1925年にダラスで行われたのが最初とされ、ラスベガスにはテキサス州出身のプレイヤーによって伝えられたとされる。
[編集] 目的
特別に記述されていないところは、一般的なポーカーのプレイルールに則る。ポーカーの項も参照のこと。
このゲームの目的は、ポット(pot,全員の賭け金を集めたもの)を獲得することにある。ポットを獲得するためには、ショー・ダウンにおいて最も強い5枚のカードを持つか、中途のベットラウンドにおいて他のプレイヤーを勝負から下ろさせることによりポットを獲得する権利を放棄させる必要がある。
[編集] 賭ける際の注意
テキサス・ホールデムではブラインド(強制ベット)制という、ポーカーの中では珍しい方式を採用している。通常、テキサス・ホールデムにおいてはスモールブラインドとビッグブラインドの両方を用いる。アンティ(参加料)を併用することもあるが、大抵はトーナメントルールにおける後半から終盤戦において利用される程度である。
ディーラー・ボタンは、ゲームに参加しているどのプレイヤーがディーラー位置にいるのかを示すために用いられる(カードを配ったりチップを扱いゲームを進行する「ディーラー」とは異なる)。ディーラー・ボタンは1ゲームごとに時計回りに移動し、ディーラーの位置及びブラインドベット対象者の変更が行われる。スモールブラインドはディーラーボタン位置の左隣にいるプレイヤーが行い、その額はビッグブラインドの半分である。ビッグブラインドはスモールブラインドの左隣が行い、その額は当該ゲームにおける最低ベット額である。
テーブルに残っている参加者が2名となった場合は、ボタンのないプレイヤーがビッグブラインドを、ボタンの置かれたプレイヤーがスモールブラインドをベット(ポスト)することになる。 トーナメントルールにおいては、ブラインド・アンティの金額は一定時間ごとに増加していく。
[編集] 賭けに関するルール
テキサス・ホールデムにおける「賭け」のルールは、 リミット、ノー・リミット、ポット・リミットの三種類が主に用いられている。
リミットは、ライブゲーム(いつでもテーブルに入り、ゲーム終了直後にいつでも終了できるタイプのゲーム)においては、アメリカのカジノで一般的なルールである。 例えば「$2-4のリミット」と言われた場合は、全4回ある賭けの機会(ベットラウンドと言う)のうち、最初の2回(場にカードのない状態&場に3枚開いた状態)では賭け金の単位はビッグブラインドと同額であり、後半の2回はビッグブラインドの倍額となる。
ノー・リミットはテレビ中継を行うレベルのトーナメント、特に世界選手権メインイベントで用いられているのが代表格である。ノー・リミットにおいては、プレイヤーは手持ち額全額までかけることが許される(全額賭けることを「オール・イン」と呼ぶ。これについてはポーカーの項を参照)。
ポット・リミットでは、最大ベット額は、その時点での賭け金総額までとなる。
[編集] ゲームの進行
各プレイヤーに2枚のカードが裏向きで配られて、ゲーム開始となる。 この2枚のカードを「ホールカード」あるいは「ポケットカード」と呼ぶ。 ゲームにおいてこの2枚だけが、プレイヤーが個別に渡されるカードであり、これはショーダウンまで見せる必要のないカードである(場合によっては全く見せずにゲームを終えることもできる)。
見えないカードがあるという点から、この時点ではいわゆる「クローズド・ポーカー」の側面を見ることができる。
そして、配られた時点で賭けのラウンドが開始する。このラウンドは「プリフロップ(フロップが開く前)」と呼ばれる。賭けはビッグブラインドの左隣から、時計回りに行う。ただし、ブラインドがない場合は、ディーラーボタンの左隣から行う。
プリフロップでの賭けが終わり次第、(ゲームに2名以上プレイヤーが残っている場合は)ディーラーはフロップを配る。フロップは、表向きに3枚のカードをテーブルに出す。これは全てのプレイヤーに共通のカードである。この先の賭けは、全てカードが配られた時点で、ディーラー・ボタンの左隣のプレイヤーから時計回りに行われる。
フロップの賭けが終わると、ディーラーは更に1枚の共通カードを場に出す。 このカードをターン(またはフォース・ストリート)と呼ぶ。
ターンにおける賭けが終了すると、ディーラーは最後の1枚となる共通カードを場に出す。 このカードをリバー(またはフィフス・ストリート)と呼ぶ。
リバーにおける賭けが終了した時点で、残っているプレイヤーが2名以上いる場合、勝者を決めるためにショーダウンを行う。
- 各カードが出される際に、カードに印が付けられている可能性などを考慮して、見えている一番上のカードは配る前に伏せたまま場に放棄して利用しない。これをバーン・カードと呼ぶ。
[編集] ショーダウン
プレイヤーが単独で(つまり、他のプレイヤーを全員降ろして)いる場合、当該プレイヤーがポットを獲得し、ポケットカードの内容は公開しなくても良い。
2名以上のプレイヤーが最後の賭けを終えて残っている場合は、ショーダウンを行う。ショーダウンとは、各プレイヤーにとって最も強くなる5枚のカードを、手元の2枚と場に出た5枚のコミュニティ・カード(「ボード」とも言う)の中から決定することによって行われる。手持ちの2枚のカードに、利用のための制限はない。
最強役が複数のプレイヤーによって持たれた場合は、ポットのチップは均等に分けられて各プレイヤーに支払われる。この際、ゲームで利用している最低単位×対象人数に満たないチップについては、ディーラー・ボタンから遠いプレイヤー(つまり、最初にベットラウンドで意思表示を行わないといけないプレイヤー)から時計回りに優先される(これを日本のプレイ団体では「ボタンに遠い方」と呼ぶこともある)。
なお、役の判定に際しては、全5枚が対称役となるものでなければ、同一ランクの役はその役を構成しないカード(キッカー)まで同一にならなければ引き分けとならないので、十分注意する必要がある。なお、カードの数字ランクだけを見るものであり、テキサス・ホールデムにおいて、カードのマークは役同士の強弱判定に全く影響を及ぼさない。
[編集] トーナメントルール
伝統的に、ポーカーというのは金銭をチップに両替して、ゲームに参加している当事者間でその得失を競うもの(ライブゲーム)であった。他方で、一定額の「参加料」を支払って全員が同量のチップを持ってゲームを行うトーナメント形式のルールも現在では多数行われている。
プレイヤーは、手持ちのチップを全て失った時点でトーナメントから離脱し(負け抜け形式)、最終的な順位によって、賞金を受けとる(あるいは賞金なし)形式である。賞金総額は、プレイヤーが支払った参加料の総額から、主催者が数%の事務手数料を取ったものとなることが多い。
賞金を受け取れるのは参加プレイヤーの数%(世界選手権で約10%)のため、結果として、トーナメントにおける基本戦術は、ライブゲームと大きく異なることになる。
カテゴリ: ゲーム関連のスタブ記事 | カードゲーム | カジノゲーム