トリブヌス・ミリトゥム
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トリブヌス・ミリトゥム(tribunus militum)は、古代ローマの軍団(legio, レギオー)における高級将校・幕僚。語義は「兵士の長」。軍団司令官などと訳されることもあるが、実戦の司令官ではなかったとされている。
共和政ローマでは、元老院議員クラスから選出され、1個軍団当たり定員6名が配属された。例えば、コンスル(執政官)が4個軍団を率いると、計24名のトリブヌス・ミリトゥムがいた計算になる。
各軍団の6名は、2名ずつ3組に分かれ、2か月ごとに交代で軍団を統括した。ガイウス・マリウスによる軍制改革以降では、レガトゥス・レギオニス(legatus legionis;軍団長)配下の幕僚として働いた。実戦においてコホルス(cohors;歩兵大隊)やマニプルス(manipuls;歩兵中隊)などの部隊を指揮することはなかったようである。