ニコラス・スパイクマン
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ニコラス・スパイクマン(Nicholas J. Spykman, 1893年 - 1943年)は、オランダ系アメリカ人の地政学者で、イエール大学の国際関係学の教授。49歳でガンによって死去した。
彼の教え子にはまず第一に地理の知識を叩き込ませていたという。地理の知識なしに地政学を理解するのは不可能であるからである。
[編集] リムランド理論
ニコラス・スパイクマンはランドパワー理論やハートランド理論を踏まえてリムランド(ユーラシアの沿海地帯)理論を提唱した。その理論を踏まえ、彼は米国の政策に以下の提案を行っている。
- ハートランドへの侵入ルートにあたるリムランドの主要な国々とアメリカが同盟を結ぶこと。この侵入ルートをふさぐ強力なリムランド国家(例、ヒットラー・ドイツによるフランスやノルウェー支配/ギリシャやトルコとの同盟)をつくらせないこと。
- リムランド諸国間のアメリカ抜きの同盟をバラバラに切断するが、同時に、ハートランドの国にリムランドの国々を支配させないようにする。
- 現代(当時は第二次世界大戦中)の船舶技術において、アメリカをとりまく大西洋も太平洋も「防波堤ではなく、逆に高速道路である」と認識しており、現代の兵器技術においていかなる国のパワーも地球上のいかなる場所であれ「地理的距離とは無関係に投入できる」と見抜いており、アメリカの孤立主義(モンロー主義)の不毛と危険を警告し続けた。
[編集] 著書
- The Social Theory of Georg Simmel, (University of Chicago Press, 1925).(山下覺太郎訳『ジムメルの社會學論』寶文館, 1932年)
- America's Strategy in World Politics: the United States and the Balance of Power, (Harcourt, Brace, 1942).
- The Geography of the Peace, (Harcourt, Brace, 1944).