ハノイ・ハンナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハノイ・ハンナ(Hanoi Hannah、1931年-)とは、ベトナム戦争において北ベトナムによって行われたプロパガンダ放送でアナウンサーを勤めた女性の、アメリカ軍における通称である。本名はゴ・チン・ティ(Ngo Trinh-Thi)と言う。
彼女は戦争の間1日に3回の放送を行ない、戦死したり捕虜となった米兵の名前を読み上げ、またはベトナムへのアメリカの介入の不当性とその非人道性を訴えるアナウンスを行い、米兵達の厭戦気分を煽ろうとした。あるいは米兵たちに故郷を思い起こさせホームシックに陥れようと、アメリカの反戦ポピュラー音楽を流したりした。
例えば、彼女のアナウンスにはこのようなものがある。
- How are you, GI Joe? It seems to me that most of you are poorly informed about the going of the war, to say nothing about a correct explanation of your presence over here. Nothing is more confused than to be ordered into a war to die or to be maimed for life without the faintest idea of what's going on. (1967年6月16日の放送)
- (GIジョーのみんな、ご機嫌いかが?あなたたちのほとんどが、何の説明も受けないまま、このロクでもない戦争に連れて来られたんじゃないかしら。訳のわからないまま戦争に行くように命じられて、ここで命を落としたり、大怪我を負って一生を台無しにするのって、意味が無いじゃない。)
戦後、ハンナは国家栄誉賞を受賞しエンジニアの夫と共にホーチミン市に移住したが、皮肉なことに彼女の長男はボートピープルとなってアメリカに亡命したという。[1]