フトイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フトイ | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||||
|
フトイは、イグサに近い姿のカヤツリグサ科植物のひとつである。
[編集] 特徴
フトイ(Scirpus tabernaemontani C. C. Gmelin)は、「太い」ではなく、「太藺」、つまり「太い藺草」の意味である。実際にはイグサ科ではなく、カヤツリグサ科ホタルイ属に属する。ただし、その姿はさほどイグサに似ている訳ではない。
湿地や浅い池などに生育する大柄な多年草で、高さは2m近くにもなる個体もある。地下茎は太くて横に這い、全体としてはまばらに花茎を立てて大きな群落を作る。地下茎の節から花茎を直立させる。花茎の基部には鞘があって、その先端は少しだけ葉の形になる。しかし花茎の長さに比べるとあまりに小さく、目立たない。花茎の断面はややいびつな円形。
花茎の先端には花序がつく。いくつか枝が出て、その先端には小穂がつき、小穂の基部からさらに枝が出るようにして、多数の小穂が散房状につく。花序の基部には苞が一つあるが、花序より短くて目立たず、そのためイグサのようには見えず、花序が花茎の先端に、上を向いて着いているように見える。
日本全土に分布する。
[編集] 利用
日本では、時に庭園の池などで観賞用に栽培される。花茎に白い横縞模様の出るものがあり、シマフトイと呼ばれ、鑑賞価値が高いものとして栽培されている。
国外では、フトイの一種であるトトラ S. clifornicus subsp. totora T. Koyamaはチチカカ湖周辺の先住民がこの茎を集めてボートを作ることで有名である。茎を刈り、これを乾燥させて、束にして結び、直径50cm程の束を二つ並べて船底にし、やや小さい束をその上に並べて側壁とする。場合によってはこれにトトラで作ったすだれの帆をつける。大きいものは5-6人乗りになる。