フランス・ハルス
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フランス・ハルス(Frans Hals, 1581年/1585年頃 - 1666年8月26日)は、17世紀のオランダの画家。
ハルスは、オランダ絵画の黄金時代を代表する画家の1人で、レンブラントよりはやや年長ながら、ほぼ同時代に活躍している。オランダのハールレムで活躍し、作品にはハールレムの住人を描いた肖像画が多い。人々の生き生きとした表情を捉える描写力は卓越している。代表作の「陽気な酒飲み」は、モデルの人柄まで伝わってくるような名作である。ハールレムの名士を描いた集団肖像画も多い。
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[編集] 人生
フランス・ハルスの人生の詳細は、かなり正確に伝わっている。彼は1582年または1583年にアントワープで生まれた。彼の父はカトリックであったと思われる。1585年頃、当時のフランダースの多くの住民がしたように、家族はハールレム (Haarlem) へ移り住む。ハルスは27歳になってようやく、聖ルカ・ギルド (Sint-Lucasgilde、英語は St. Lucas Guild) のメンバーになれたが、もっと早く認められていてもよかったであろう。多くの資料に、彼の師匠はカレル・ヴァン・マンデル (Karel van Mander) であると書かれている。ハールレムでハルスは2度結婚し、14人もの子供を儲けている。彼はスパールネ (Spaarne) 運河近くの賑やかなこの都市で、多くの肖像画を描いて人生のほとんどの時間を過ごした。彼は1666年、84歳で死去したとされる。フローテ・マルクト (Grote Markt) 中央広場にある古バーヴォ教会 (Bavo Church) に埋葬された。
[編集] 業績
ハルスの作品のほとんどは散逸しており、もともとどれくらいの作品が描かれたかも分っていない。シーモア・スリーブ (Seymour Slive) によって1970年から1974年に編纂された現在最も信頼されているカタログによると、222枚の作品がハルスの作とされる。もう一人のハルスの権威であるクラウス・グリム (Claus Grimm) の 'Frans Hals. Das Gesamtwerk' (1989年) によると、この数はもっと少なく145作品となる。ハルスが風景画、静物画、または物語を題材にした絵画を描いたかどうか正確には知られていないが、おそらく描いてはいないと思われる。17世紀オランダの多くの画家は、専門性を持っていた。ハルスもまた、純粋に一つの画風にのみ注力した。個人の肖像画から、2つのペンダントをお互いにかけ合う結婚したカップルや、ライフル協会の5つの連作、理事と理事婦人の肖像画 (3作品) などの人物の風景など、彼はひたすらに人を描いた。一般的にこれらの肖像画は、作家、市長、聖職者、貿易商人、知事など中流から上流階級の人々からの注文で描かれている。たとえば、自身のグループの肖像画を発注した、少なくとも将校か下士官と思われるライフル銃兵達もまた、いくらか上流で裕福な階級の出身である。ハルスはまたしばしば風俗画も描いた。浜辺の漁師の子供や、八百屋の女、ハールレムの農夫、Malle Babbe (ハールレムの魔女) など、卓越したセンスで描かれた作品が残っている。これらもまた肖像画とも言えるだろうが、より「日常の瞬間」を切り取った点が特徴である。
[編集] テクニック
我々がハルスの作品から受ける印象は、キャンバスに一気呵成に絵筆を叩き付けて描き上げる姿であろう。しかし後世の技術的および科学的な研究から、この想像は誤りである事が判明している。このユニークな画風は、実際には下描きを描いたり下地を置いたりせずに直描技法 (alla prima) で大胆に描いた結果である。しかしその大胆さにも関わらず、ほとんどの作品は当時主流であった絵の具を厚く塗り重ねて層を作る技法が用いられている。 時に彼の作品は、グレーやピンクの下塗りの上にチョークや絵の具でデッサンされ、そこからさらに多彩な、あるいは必要最小限の色を徐々に加えて描かれた。初期の頃から才能を発揮していたハルスは、ほとんどの場合下塗りを大雑把に済ませている。この手法は、彼のやや後期の円熟期の作品に見られる。
ハルスは、持ち前の多才さに素晴らしい大胆さと度胸と技巧を併せて発揮し、肖像画の対象となった人物が存命中にすばやく描き上げた。言うなれば、同年代の画家が遅筆であったのと異なり、彼の肖像画によって死ぬ者はいなかった。依頼主からの要求があろうがなかろうが、彼の絵画には対象人物が正確に内面まで描ききれていた。彼の最初の研究者であるシュレヴェリウス (Schrevelius) による17世紀の著書 'Een onghemeyne [ongewone] manier van schilderen, die hem eyghen is, by nae alle [iedereen] over-treft' (他を凌駕するハルスの並外れた絵画手法) で、ハルスの絵画手法が分析されている。デッサンから描き出す計画的な描画手法は、既に16世紀のイタリアに存在していたため、ハルス自身のアイデアではないようだ。ハルスはおそらく、ベルギーのフランダース地方の同年代の画家たち、すなわちルーベンス (Rubens) やファン・ダイク (Van Dyck) らの影響を受けていると思われる。
[編集] 代表作
- 陽気な酒飲み(1628-30)(アムステルダム国立美術館)
- ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会(1616)(ハールレム、フランス・ハルス美術館)