ブロック経済
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ブロック経済(-けいざい)とは、自国と友好国を「ブロック」として、関税障壁を張り巡らし、他のブロックへ需要が漏れ出さないようにした状態の経済体制。
主に、世界恐慌以後の1930年代のブロック経済を指す場合が多い。
[編集] 概要
一般に、自由貿易の下では、自国の内需が拡大する場合、輸入も拡大する。しかし、関税障壁を高くすると、輸入を通じて外国へ漏れる需要が減少し、国内生産を保護・増大させる効果がある。
国民所得:Y=C+I+G+(EX-IM)
総消費:C=0.8Y
総投資:I=10
財政投資:G=20
総輸出:EX=10
総輸入:IM=0.3Y
の場合、Y=80でIM=24となるが、関税障壁を高めて、輸入を阻害し
総輸入:IM=0.2Y
とした場合、Y=100でIM=20となり、国民所得は増大・輸入は減少する。
ただ、輸入の減少は、他国にとっては輸出の減少となり、国民所得を減少させる。さらに国際分業が崩れるため、世界経済全体が非効率になり、望ましい状態ではない。
[編集] 歴史
1929年秋に世界恐慌が発生すると、各国は金本位制を放棄し、弱い自由貿易体制の息の根を止めた。
1930年代、各国は、植民地を抱え込みブロック経済化を進めた。
それぞれのブロックは通貨圏ごとに分かれた。
- スターリングブロック(イギリス・ポンド圏)
- フランブロック(フランス・フラン圏)
- ドルブロック(アメリカ・ドル圏)
- 円ブロック(日本・円圏)
それぞれのブロックは、貿易を通じた同期性を失い、世界恐慌からの回復には大きな差が生じた。
ドル・フランなどのブロックが回復が遅れる一方、円ブロックは早期に回復した。
このようにブロック化で列強間が経済的な分断を進めたことは、環境面からも要因面からも第二次世界大戦につながることになった。