プラトンの問題
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プラトンの問題(Plato's problem)とは、ノーム・チョムスキーが『障壁』(“Barriers”;1986年)の中で述べた「人間は経験できることが非常に限られているのに、なぜ経験したこと以上のことを知ることができるのだろうか」という言語の問題のことをいう。
人間は生まれてからわずかな期間で母語をほぼ完全に獲得するようになるが、その間に受ける環境的・言語的刺激は限られたものである(これを「刺激の貧困(poverty of stimulus)」という)。この刺激の貧困という制約があるにもかかわらず、創造的で豊かな内容を持つ言語知識を獲得できるのはなぜかという問いに答えることが言語研究の最大の課題であるとされる。