マイケル付加
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マイケル付加反応とは、α,β-不飽和カルボニル化合物に対して求核剤が1,4-付加する反応のこと。
エチレンのような通常のアルケンは一般的には求核剤との反応は起こらないが、 アクリル酸メチルのように、電子求引性基によって(求核攻撃に対して)活性化されたアルケンは、 グリニャール試薬やエノラートのような求核剤と反応することが可能である。 同様に、電子求引性基であるニトロ基やシアノ基の結合したビニル化合物についても同様の反応が起こる。
一般のカルボニル化合物と求核剤との反応では、求核剤がカルボニル炭素に対して求核攻撃するが、 マイケル付加反応においては、求核剤の付加はカルボニルとの共鳴によりδ-となったβ位の炭素に対して起こり、 求核剤上にあった負電荷は酸素へと移る。 これは、α,β-不飽和カルボニル化合物のような共役した化合物のLUMOはビニル基上にあり、 求核剤のHOMOとの相互作用が最も強いビニル基で反応が起こるためである。
また、α,β-不飽和カルボニル化合物に対して1,2-付加を起こすためにはハードな求核剤(HSAB則参照)を用いればよい。 有機銅試薬(ギルマン試薬,R2CuLi)やグリニャール試薬が主に1,4-付加体を生成するのに対し、アルキルリチウムが1,2-付加するのはこのためである。
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