ミズワラビ
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ミズワラビ(Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.)は、シダ植物門ホウライシダ科に属するシダである。シダとしては珍しい水草で、水中、あるいは湿地に生える。熱帯地方に広く分布し、日本では本州中部以南に分布する。水田によく生えたが、現在では見ることが少ない。
熱帯では多年生であるが、日本の本州では一年性の形で、夏に胞子をつけると枯れてしまう生活をしている場所もある。
[編集] 特徴
根茎はごく短い。葉は栄養葉と胞子葉の二型に分化する。栄養葉は二ー三回羽状複葉で、小葉は丸っぽい三角形だが、葉全体が黄緑色で柔らかく、主軸は多肉質っぽくて一般的なシダの葉とはかなり印象が異なる。水中ではさらに葉が薄くなる。胞子葉は小葉が厚みのある線形になっている。大きさは40cmにも達するが、寒冷な地域では小型化する。ほとんど葉が分かれないものもある。
葉の先端から新芽が出て新しい株を生じる場合もある。熱帯魚の水槽内では、沈水性の水草として育てる場合が多いが、水面に葉を浮かべ、水中に根をぶら下げた浮草の形でも育つ。水中では胞子葉はつかない。
[編集] 利用
よく育つ地域では葉を食用にする。日本でも用いられたようだが、現在では除草剤のためか、他の多くの水田雑草と共に姿を消している場所が多く、食えるほどに手にはいらない。
より多く見かけるのは熱帯魚の水槽の中である。熱帯魚用の水草としてよく販売されており、ウォータースプライト(Water Sprite)の名で流通している。あるいは水面に浮かせてその根を小魚の産卵場所に使う場合もある。