ラベリング理論
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ラベリング理論(―りろん)とは、1960年代に従来の社会病理学的なアプローチとは一線を画し、ユニークな視座を示した逸脱についての概念で、シカゴ学派に属するH・S・ベッカーらによって提唱された。
同理論は、マートンの自己成就的予言やE・M・レマートの第二次逸脱といった概念を基に発展させた。 たとえば、髪を染めている者自体を主観的に「不良」であると定義することによって「不良としての定義」が成立するする実在論的な考え方を排し、逸脱などの行為は、他者の客観の集合により構築されると主張したものである。 誰かが主観的に逸脱(犯罪等)だと定義しても、それだけでその定義は成立せず、客観的に成立していることが重要であるとする。 こうした考え方は後にJ・I・キツセやM・B・スペクターらにより構築主義へと展開されていった。