ラヴクラフト神話
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ラヴクラフト神話(ラヴクラフトしんわ、Lovecraft Mythos) はラヴクラフト研究者であるS. T. Joshi[1]が、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説世界を表すために使用した言葉。ラヴクラフトの友人作家であるオーガスト・ダーレスが善悪二元論的な側面を導入することで体系化した"クトゥルフ神話"とは区別され、ラヴクラフト自身の記した宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)を主体とする。 なお、ラヴクラフト自身による小説世界を表すために、"原神話"という名称が用いられることもある。
前述のラヴクラフト研究者S. T. Joshiによれば、ラヴクラフト神話には以下の4つの重要な要素が存在する。
- 「人類の存在、歴史、価値観は全宇宙から見れば微々たるもの」という「宇宙主義(cosmicism)」の思想
- アーカムに代表される架空のニューイングランド都市
- アザトースやヨグ=ソトースなど「擬似神話的(pseudomythological)」な神性
- ネクロノミコンに代表される謎の書籍
なお、これらの要素は多くのラブクラフト作品に登場するが、ラヴクラフト自身が体系立てて考えていたものではなく、著作を進めていく中で築き上げていったものである。
[編集] Notes
- ^ Joshi, "The Lovecraft Mythos", H. P. Lovecraft, p. 31ff.