レンネット
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レンネット (Rennet) とは酵素の1種で、プロテアーゼに属する。凝乳酵素、あるいはレンニン (rennin) 、キモシン (chymosin、EC.3.4.23.4) とも呼ばれ、牛などの乳をチーズにする過程で用いられる。
元来は仔牛の第4胃袋に存在する。現在、通常はカビからとれるものや、遺伝子組換によって微生物から得られたものを利用する。
[編集] レンネットによる乳凝固の原理
レンネットを加える前段階で、まず乳を乳酸発酵させる。無殺菌の乳では環境微生物中の乳酸菌により乳酸発酵が起こるが、殺菌乳では多くの場合、人為的に乳酸菌を加える。乳酸発酵した乳は酸性になり、カルシウムイオンが増えて来る。
乳中でカゼインなどの蛋白質(カゼインミセルという直径20~600μの分子を形成している)は-の電気を帯びており、反発し合って凝集することは無い。特にκカゼインはカルシウムイオンに対して安定で、このためカゼインミセルはこのままでは沈殿しない。
ここでレンネットを加えると、プロテアーゼであるレンニンがκカゼインに作用してその結合を切断する。結果、κカゼインは浮遊力を失って不安定になり、カゼインミセルから分離する。そして-の電気が弱まったカゼインミセル同士がカルシウムイオンを介してくっ付き、脂肪球と共に沈殿凝固する。これが乳の凝固の原理である。
[編集] 関連項目
- レンネットテスト