ロングストローク
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ロングストロークとは、レシプロエンジンにおいて、ボア(シリンダーの内径)よりピストンのストローク(行程)の寸法が長いものをいう。
[編集] エンジン特性
- てこの原理により、ストロークが長いほど燃焼室の爆発圧力が無理なくクランクに伝えられる。このため、低回転でも押し出し力のあるトルク型エンジンとなる。単気筒の場合、独特のパルス感・鼓動感はここでつくられる。
- ストロークが長い単気筒や2気筒のエンジンは、振動が大きいとの誤解が一般にあるが、現在はピストン・コネクティングロッド(コンロッド)の軽量化、バランサー等により、不快なほどではない。また、わざとバランスを崩して設計して振動を出し、エンジンの味として演出する事もある。
- 振動とはエンジンの振れのことで回転数によって変わる。鼓動とは爆発の衝撃自体のことでアクセル開度によって変わる。区別が必要である。
- すべてのレシプロエンジンは、ピストンが往復運動を行う構造上、ピストンスピードの向上に物理的な限界がある。同じ回転数においてはストロークが長いほどピストンスピードが速くなることから、高回転性能やピックアップ特性を向上させることが困難になる。これらの事から、扱いやすく疲れにくい万人向けのエンジン特性になることが多い。
- エンジン諸元表を見るときには、ボア/ストローク比だけでなくストロークの長さ自体に注目すると、他のエンジンと特性比較しやすい。また、試乗でもストロークの長短を意識したほうがエンジンの特性をつかみやすい。