一致
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言語学における一致(いっち、英語:Agreement)とは、文の中(または一連の談話の中の文)で互いに文法的な関係を持つ単語・句などの間に、明示される文法カテゴリーに関して同じものが指示される規則である。
英語のほか、世界の多くの言語(屈折語、抱合語、一部の膠着語)に一致の現象が見られる。以下に文法的関係と一致する文法カテゴリーの例を示す(カッコ内は、一般的ではないが一部の言語で例の見られるもの):
文法的関係・・・一致する文法カテゴリー
動詞・形容詞とその主語・(目的語)・・・人称・数・性・(定性)
- このほか、名称の類似したものに「時制の一致」(Sequence of tenses)がある。英語などでは、絶対的な時間基準(陳述時現在を基準とする)を置き、さらに主節と従属節で表される事柄の相対的時間関係に応じて従属節の時制が決定される。例えば主節が過去のある時点のことで、従属節がそれ以前のことならば、従属節は大過去(過去完了)で表される。(日本語では主節に対する相対的基準だけで従属節の時制を決めるのが普通)
一致は文の内部での統語論的構造をわかりやすくする効果がある。一方で、日本語のように一致の規則のない言語の話者にとっては非常に面倒に感じられる。